2000 Fiscal Year Annual Research Report
ウニ病原細菌Flexibacter sp.の生存戦略に関する研究
Project/Area Number |
12660159
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田島 研一 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (80002252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤辺 智雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (30241376)
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Keywords | ウニ斑点病 / Flexibacter sp. / 球状化 / VBNC |
Research Abstract |
エゾバフンウニ斑点病原因菌Flexibacter sp.は、海水温が20℃以上となる夏季には種苗生産施設内外の種々の試料から検出されるが、冬季にはいずれの試料からも検出されなくなる。そこで、本研究では、本菌の低水温環境における生残性について検討して、以下の結果を得た。 1.本病原因菌Flexibacter sp.F-2株は、対数増殖期中期の細胞を用いて、75%人工海水中に懸濁して5℃で保持すると、約15日でコロニー形成能を消失した。コロニー形成能を失った菌体は、生理活性を保持しており、生きているが培養できない状態(VBNC状態)へ移行していることが明らかになり、高水温期に発生する斑点病の潜在的要因となっている可能性が示唆された。 2.VBNC状態へ移行した菌体は、光学顕微鏡による観察では、10μm以上の長桿状から2μm以下の短桿状への形態変化が観察された。電子顕微鏡観察では、短桿状または球状に近い形態となる過程がより明確に観察された。しかし、コロニー形成能を失った球状細胞は細胞の表面構造はほぼ正常に保たれていた。 3.VBNC状態になった細胞はウニに対する病原性は消失していた。また、菌体構成蛋白質のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウエスタンブロッティング法による結果から、VBNC状態へ移行した本菌は、凝集能あるいは病原性との関連が示唆される約90kDaと約74kDaの易熱性抗原関連のもの、および約38kDaの耐熱性抗原関連のものと推察されるタンパク質バンドが消失していることが判明した。
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