2000 Fiscal Year Annual Research Report
西部亜寒帯太平洋の動物プランクトンの群集構造と長期変動の解析
Project/Area Number |
12660160
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
志賀 直信 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30091466)
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Keywords | 西部亜寒帯太平洋 / 動物プランクトン / 湿重量 / NORPACネット / 季節変化 / カイアシ類 |
Research Abstract |
本年度は西部亜寒帯太平洋に設定された沖合定点Stn.KNOT(44°N,155°E)において1988年6月から2000年2月までほぼ毎月1回の頻度で採集されたNORPAC net(口径45cm,目合0.33mm;0〜150m鉛直曳)標本を用いて、動物プランクトン群集の現存量(湿重量)と種・群組成の季節変化を明らかにすることを目的とした。 標本を2分割して一方の副標本は湿重量の測定、他方は動物群の分類・計数に供した。個体数で占有率の高かったカイアシ類、毛顎類、オキアミ類は種、属レベルまで分類・計数し、このうち体サイズが大型の重要種については体長を測定後既応の体長-体重換算式を用いて湿重量に換算した。 動物プランクトン個体数は1998年、1999年の両年ともに6月下旬に増加した。調査期間を通してカイアシ類が常に動物プランクトン個体数の70%以上を占め圧倒的に優占した。湿重量は1998年6月上旬の761mg/m^3から1999年12月の62mg/m^3まで変動したが、個体数と同様に6月に増加した。この6月の動物プランクトン総個体数および湿重量のピークは、植物プランクトンが豊富になる5〜6月にカイアシ類Neocalnus属3種とEucalanus bungiiが150m以浅に浮上し活発に摂餌し、成長した結果と解釈された。 今回の解析で西部亜寒帯太平洋の沖合表層の動物プランクトン群集の構造とバイオマスの季節変化が明らかとなった。来年度以降は動物プランクトンのバイオマス・個体数がピークとなる初夏の動物プランクトン群集の経年変化を解析する予定である。
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