2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸オリゴ糖修飾による魚類筋原線維タンパク質の機能性改変
Project/Area Number |
12660182
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐伯 宏樹 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (90250505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤辺 智雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (30241376)
中村 宗一郎 島根大学, 教育学部, 教授 (00105305)
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Keywords | 魚肉タンパク質 / アルギン酸オリゴ糖 / アルギン酸 / グリコシレーション / 消化 / 食品機能 / 熱安定性 / 乳化 |
Research Abstract |
魚類筋原線維タンパク質 (Mf) をアルギン酸オリゴ糖 (AO : 平均重合度6)で修飾し、その熱安定性、乳化能、消化性の変化を検討した。また、 AO 修飾した Mf の食品衛生学的安全性について動物実験を実施した。 方法 : 0.6M ソルビトールを含む50mM NaCl 中で Mf と AO を混合して凍結乾燥後、メイラード反応を介してタンパク質-糖複合体(Mf-AO)を調製した。続いて未反応のAOを硫安分画で除去し、0.05M および 0.5M NaCl (pH7.5) に透析、溶解した。熱安定性と乳化能は,加熱処理後の溶解度変化と乳化物の濁度変化で検討した。消化性はさまざまな温度と pH 下でペプシン-キモトリプシン処理をおこなって検討した。またMf-AOの急性毒性は,単回投与試験で検討した。すなわち 6-6.5g/kg に相当する Mf-AO を SPF/VAF ラットに強制経口投与した後,25℃で2週間飼育して体重の増減,摂取食事量を測定した。また飼育終了後,剖検し,肝脾臓重量と血中リン脂質,中性脂肪を測定した。 結果 : (1)AO 修飾によってMfの熱安定性は飛躍的に改善された。すなわち, AO 結合量が 200μg/mg を超えると,Mf は80℃で2h加熱しても全く不溶化しなかった。この熱安定性の改善は pH 4.5< で確認できた。 (2)Mf-AO は AO 結合量の増加に伴って優れた乳化活性,乳化安定性を呈し,その機能改変効果は加熱処理によっても損なわれなかった。 (3)水溶化,熱安定性,乳化能の改変が達成できた AO 結合量の範囲では, Mf の消化性の低下は起こらなかった。 (4)上記条件での急性毒性試験では, Mf-AO に顕著な毒性は認められなかった。以上,本研究によって, AO 修飾が食品素材としての魚類筋肉タンパク質の機能を改変する極めて有効な手段であることが確認できた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ryo Sato, Tomoo Sawabe, Hideki Kishimura, Kenji Hayashi, Hiroki Saeki: "Preparation of Neoglycoprotein from Carp Myofibrillar protein and Alginate Oligosaccharide : Improved Solubility in Low Ionic Strength Medium."Journal of Agricultural and Food Chemistry. 48(1). 17-22 (2000)