2000 Fiscal Year Annual Research Report
イカ類に見出された新しい中性金属プロテアーゼの特異な性質の究明
Project/Area Number |
12660191
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
土屋 隆英 上智大学, 理工学部, 教授 (90053694)
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Keywords | イカ / ミオシナーゼ / アスタシン / 一次構造 / 中性金属プロテアーゼ / 亜鉛 / 塩基配列 / PCR |
Research Abstract |
申請者はスルメイカ筋からリソソーム系のプロテアーゼと異なり、中性領域に活性を持つ新しい金属プロテアーゼを発見した。これらは筋肉の主要タンパク質・ミオシンのα-helix部分を限定分解する基質特異性の高いもので、従来報告例のない新奇なプロテアーゼであった。また、このプロテアーゼはミオシンの異なる部位を切断する三種のアイソフォームが存在し、各々をミオシナーゼI,II,IIIと命名した。その後、三種のミオシナーゼはともに筋肉よりもむしろ肝臓に多く含まれることが明らかになった。このことから、これらのプロテアーゼがミオシンを分解する筋タンパク質代謝系に関与しているのではなく、ミオシン以外のタンパク質を基質とするある種の細胞調節系で機能している可能性が大きくなった。この様な研究経過のなかで、平成12年度おこなった研究の成果は下記の通りである。 1.プロテアーゼの調製はイカ肝臓ホモジネイトを40〜55%の硫安濃度で塩析したものを陽イオン交換クロマトグラフィーで部分精製後、GPCで精製する。精製されたミオシナーゼを、さらにCo^<2+>,Zn^<2+>キレートアフィニティークロマトグラフィーでアイソフォームの分離を試みた。これらの方法を組み合わせることで定常的に各アイソフォームに分離出来るようになった。 2.分離されたミオシナーゼの三種のアイソフォームのうち、I,IIIの二種については部分アミノ酸配列が決定出来た。それをもとにプライマーを作成し、PCRする事で全塩基配列を決定した。現在ではこの二種のアイソフォームの一次構造であるアミノ酸配列が推定出来た。推定アミノ酸配列結果を解析したところ、このミオシナーゼは亜鉛を中心金属としMAMドメインを持つアスタシンファミリーに属するプロテアーゼで有ることが分かった。しかし、今まで報告例のない新奇なプロテアーゼであった。
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Research Products
(1 results)