2001 Fiscal Year Annual Research Report
イカ類に見出された新しい中性金属プロテアーゼの特異な性質の究明
Project/Area Number |
12660191
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
土屋 隆英 上智大学, 理工学部, 教授 (90053694)
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Keywords | イカ / ミオシン / 中性金属プロテアーゼ / 金属キレート剤 / かまぼこ / 練り製品 |
Research Abstract |
平成12、13年度2年間の主な成果 イカ肉の加工原料として利用する上での大きな障害は、他の動物では見出されていない中性領域に活性を持つ金属プロテアーゼがイカ肉に存在することである。この金属プロテアーゼは筋肉タンパク質であるミオシンに特異性が高いため、イカからのアクトミオシンやすり身の調製時ミオシンが分解されてしまう。ミオシンへの高い特異性からこのプロテアーゼをミオシナーゼと命名した。このミオシナーゼの存在がかまぼこ等の練り製品製造の阻害因子となっている。イカ肉から練り製品を作るためにはこのプロテアーゼの活性を抑えることが必要である。2年間ミオシナーゼの性質究明を行ってきた。通常プロテアーゼは生体内で前駆体か、特異的な阻害剤が存在するかの2種いずれかの形で不活性化されている。それらにより活性はコントロールされている。そこで本研究はイカのミオシナーゼがどのようなタイプに属するのかを調べたところ、前駆体構造をとることが分かった。また分泌性のプロテアーゼであることも併せて明らかになった。このことからミオシナーゼの特異的な阻害剤が生体内に存在しないと結論できた。前駆体構造のものは生体内で活性化される機構をとるので、タンパク質の調製地には常に活性化状態にある。そのためミオシン調製時には外部から金属キレート剤を添加する必要がある。EDTAの添加はミオシナーゼの阻害に有効であることを見出した。しかしながら食品製造の観点に立つと、キレート剤を食品に添加するのは量的制限が厳しい。天然の阻害剤の検索が重要で、有効な阻害剤が見出されたなら、イカ肉のより一層の利用が可能となる。
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