2002 Fiscal Year Annual Research Report
消費者の食品需要における味覚の官能評価のミクロ経済学的研究
Project/Area Number |
12660195
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
川村 保 岩手大学, 農学部・農林環境科学科, 助教授 (20177736)
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Keywords | 食品需要分析 / 食品 / 味覚 / コンジョイント分析 |
Research Abstract |
本研究では、食品に対する消費者の選好を味覚の官能検査を通じて把握し、より詳細な食料需要分析を可能にすることを目的としている。 3年目に当たる平成14年度には、これまでの研究を踏まえて、味覚の官能試験の実施結果をもとに消費者の商品の評価を分析することを中心的な課題として研究を実施した。食品をはじめ、商品は様々な属性を有しているが、消費者はその商品の属性に対して一定の選好を有しており、それに基づいて食品等の需要行動をしているものと考え、属性に対する消費者の選好を数量的にとらえようとした。 商品の属性に対する評価の方法としては、ヘドニック価格法などもあるが、今年度の研究ではコンジョイント分析の枠組みを用いた。コンジョイント分析は、商品のプロファイルを作成し、それを消費者の選好(評価)の順に並べてもらい、その順序と属性の関係を解析することにより、各属性の部分効用を数量的に捉える手法である。この分析手法と官能試験を組み合わせることで、実際に食品を味わう経験により商品の選好がどう変化するかを検討することとした。 加工食品としてヨーグルト、加工度の低い加工食品として豆腐、生鮮食品としてリンゴを取り上げ、これらを評価対象にして、味覚の官能試験を行うと共に、コンジョイント分析を、味覚の官能試験の前と後と、2回実施した。被験者は岩手大学の学生である。 その結果、(1)加工度の低い加工食品や生鮮食品では、味覚の官能試験を行う前後でコンジョイント分析の結果には差が表れ、食品に及ぼす味覚の経験や情報が消費者の選好を定める要因となっている、(2)加工食品では味覚の官能検査を経験する前後でコンジョイント分析の結果の差は小さく、味覚の経験などが消費者の選好に及ぼす影響は限定的である、(3)加工食品では味覚以外のデザイン等の視覚的要因も消費者選好を規定する要因となっている、などが明らかになった。
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