2002 Fiscal Year Annual Research Report
水資源の用途間及び地域間再配分の実態解明と再配分論理仮説の構築
Project/Area Number |
12660198
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
茂野 隆一 筑波大学, 農林学系, 助教授 (60292512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 伸広 筑波大学, 農林学系, 教授 (50311593)
水谷 正一 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70093143)
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Keywords | 農業用水 / 上水 / 水需給 / 土地改良区 / 上水事業者 / 用水転用 / 地域共通資産 / 用水減量 |
Research Abstract |
2000、2001年度に実施した事例分析、収集した転用事例の既往データもとに、農業用水転用の理論仮説の枠組みを検討し、農業用水の地域共通資産化、用水の減量の考え方を提示した。 農業用水再配分の現代的異議を「農業用水の非効率」として整理した。1970年代に入って、水田面積が96万ヘクタール、水稲作付面積は140万ヘクタール減少した。にもかかわらず、農業用水の使用量は今日まで増加し、ヘクタールあたりの農業用水使用量は、1968年の179立法メートルから2000年の332立方メートルに増加した。このことを農業用水の非効率と規定し、その効率化が国内稲作存続を左右すること、その存続のためには農業用水の再配分が不可欠なことを明らかにした。さらに、昨今の多面的機能論に疑問を呈し、多面的機能論は農業用水の非効率を容認するものとして主張される傾向があること、そうであるとするとき多面的機能論の主張はかえって稲作の存続を危機に陥れる可能性を秘めることを明らかにした。したがって、安易な多面的機能論を排除することに留意することの重要性を主張した。 ついで、農業用水の資源としての性格を再確認した上で、農業用水に対する農民の意識に大きな変化が生じていることを解明した。上水道、工業用水道のいずれをみても今後は用水需要が減少するため、従来の転用による用水再配分には限界があることを明らかにした。また、用水は本来的に地域の共通資産であり、用水再配分を農業用水側の一方的な意思決定で実施することの不都合を指摘し、農業用水を地域の共通資産と位置づけることを提案した。以上のことを踏まえて、転用とともに、農業用水の減量を農業用水再配分の新しい考え方として提案した。 用水再配分については、用水転用の経験と現状に対する情報の共有、地域用水委員会の組織化などの環境整備が必要である。とくに、農業用水転用については、その実状を明らかにすることを経営する雰囲気が強い現状を改めることの必要性を強調した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 高田しのぶ, 茂野隆一, 坪井伸広: "水のシャドウプライスと農業用水の再配分"筑波大学農林社会経済研究. 第19号. 1-29 (2002)
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[Publications] 坪井伸広: "新たな水社会の構築-近代灌漑技術と稲作農業を越えて-"農業と経済. 第69巻第4号. 48-56 (2003)
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[Publications] 水谷正一: "21世紀水危機-農からの発想(分担執筆:分権型社会の水利秩序)"山崎農業研究所. 350 (2003)
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[Publications] 坪井伸広: "21世紀水危機-農からの発想(分担執筆:地域共通資産としての農業用水)"山崎農業研究所. 350 (2003)
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[Publications] 茂野隆一: "農業用水の転用実態と再編課題"筑波大学農林学系資源経済学研究室. 154 (2003)