2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660218
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
堀野 治彦 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (30212202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三野 徹 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10026453)
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Keywords | 肥料 / 硝酸態窒素 / 脱窒 / 硝化 / 畑地土壌 / 地下水汚染 / 傾斜地水田 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度までに行った畑地土壌中の水分移動と窒素動態の室内実験のモデル化と,これを用いたシミュレーションにより,地下水への窒素溶脱抑制のための適切な施肥・灌漑管理法について考察した.また,家畜糞尿の農地への投入によって地下水硝酸態窒素汚染が問題となっているカリフォルニアの酪農地域を研究対象現場に加え,農地土壌中の水分・窒素動態のモデル化を行った.さらに,従来の現場(傾斜地水田)では,地下水流動モデルを構築し,これと水質データをもとに,傾斜地水田土壌中の窒素動態を推定した.さらに,水田土壌中の微生物環境を分子生物学的手法により明らかにした.得られた知見を以下に示す. (1)畑地土壌中の窒素動態モデル化と適切な施肥・灌漑管理法 水分移動方程式にはRichards式,窒素動態方程式には,移流分散方程式に吸着・硝化反応を組み込んだ式で室内実験結果をほぼ再現できた.これを用いて適切な管理法を検証した結果,分施により窒素溶脱リスクを軽減できることがわかった.また,露地栽培では降雨量と降雨パターンが溶脱量に影響すること,降雨の影響を受けない施設栽培では地温上昇のために硝化量が増加することなどが示された.灌概方法に関しては,少量頻繁灌漑が溶脱量に及ぼす影響は小さかった. (2)家畜糞尿に含まれる窒素の農地土壌中での挙動 家畜糞尿に含まれる窒素(有機態窒素,アンモニア態窒素)は農地土壌中で無機化,硝化作用により硝酸態窒素に変化し,下方へ溶脱することがモデル化より明らかになった.また,家畜糞尿の投入量を適切に管理することで溶脱量が抑制されることを示した. (3)傾斜地水田土壌中の窒素動態 傾斜地水田に特徴的な地形である法面が水質形成に大きく影響していることが明らかになった.つまり,法面部土壌中で非灌漑期においても脱窒作用が生じており,平地水田に比べて窒素の下流への負荷抑制効果をもつことが推測された.
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