2000 Fiscal Year Annual Research Report
多目的計画法による流域水文モデルの最適化に関する研究
Project/Area Number |
12660219
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中丸 治哉 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (80171809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 明夫 神戸大学, 農学部, 助手 (00263400)
畑 武志 神戸大学, 農学部, 教授 (70031193)
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Keywords | 流出モデル / モデル定数 / 最適化 / 多目的計画法 / タンクモデル / SCE-UA法 |
Research Abstract |
平成12年度は、流域水文モデルの未知パラメータ(流出モデル定数)の同定に用いられている各種の誤差評価関数の特徴を明らかにするとともに、多目的計画法による流出モデル定数の最適化に着手した。得られた結果は次の通りである。 1,流出モデル定数の同定に用いられている代表的な誤差評価関数として、平均二乗誤差平方根(RMSE)、平均絶対誤差(MAE)、対数変換値の平均二乗誤差平方根(LOG)、χ基準、χ^2基準、相対誤差(RE)、相対誤差の平均二乗誤差平方根(RR)の合計7種を選択し、これら誤差評価関数を永源寺ダム流域、大迫ダム流域、青蓮寺ダム流域でのタンクモデル定数(16定数)の同定、大迫ダム流域でのVIC水収支モデル定数(5定数)の同定にそれぞれ適用した。最適化手法には、最も強力な大域的探索法の1つであるSCE-UA法を用いた。その結果、RMSE、MAE、LOGによれば水収支がバランスしたモデルが得られるが、それ以外では総流出高が過小推定になること、一般的に高水(低水)重視とみられる関数を用いた場合は、高水(低水)の適合性が良いこと、探索結果の一貫性からはRMSEやRRが優れており、一貫性が得にくい関数もあること、などが分かった。 2,タンクモデル定数の同定問題をRRと水収支誤差(総流出高の相対誤差)の双方を目的関数とする多目的計画問題と考え、水収支誤差をある値以下に抑えるという制約条件下でRRをSCE-UA法で最小化するという「ε制約法」によりパレート解を求めた。その結果、水収支誤差を小さくする程、RRは徐々に大きくなるというトレードオフの関係が示された。さらに、同じくタンクモデル定数の同定において、高水重視のRMSEと低水重視のRRの双方を目的関数とする多目的計画問題を設定し、RMSEとRRの加重和をSCE-UA法で最小化するという「加重和最小化法」によりパレート解を求めた。その結果、RMSEを小さくするとRRは逆に大きくなるという関係が示された。
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Research Products
(1 results)