2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660223
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
伴 道一 高知大学, 農学部, 助教授 (20198956)
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Keywords | 河川 / 有機物 / 水質浄化 / 淵 / 瀬 / 取水堰 / 微生物 |
Research Abstract |
1.農業用取水堰の上流に形成される湛水域における懸濁態有機物の沈降・堆積と酸化分解 取水堰湛水部において,セディメンとトラップを用い,河床への懸濁物の沈降・堆積量と,これに含まれる有機物量,さらに沈降有機物の酸化分解速度を実測し,湛水部における有機物除去量の定量化を試みた. 2002年10月12日から15日間の,トラップ内のVSS減少過程から,有機物の減少速度は6.9g・m^2・day^<-1>を得た.これは2001年同期に得た値(8.3)に近い.好気性従属栄養細菌の有機物分解活性は水温に依存すると言われるが,得られた分解速度と調査期間の平均河川水温との関係を見ると,両者の相関は明瞭ではなく,分解速度は5〜10g・m^<-2>・day^<-1>の範囲に多くの推定値が分布した. 総括すると,湛水域へ流入したSSの約6割が河床へ堆積し,その量は1日で422g/m^2である.この中には有機物が約16%含まれ,68g・m^<-2>が1日に堆積する.少なく見積もって,この中の1割強の有機物が細菌によって好気的に分解され,溶存態有機物となる.実際には,懸濁有機物の除去において本結果以上の浄化能力を、湛水部は有していることが示唆された. 2.自然河川の淵から瀬への移行部に形成される河床間隙水域における有機物移動 中流域では河川の蛇行によりM型と呼ばれる淵とこれに続く瀬が交互に形成される.淵から瀬への移行部の河床はマウンド上に砂礫が堆積し,砂礫層中を河川水が浸透する.この河床間隙水域は溶存有機物,微細な懸濁有機物が河川水と共に移動し,細菌による接触酸化作用が大きく,河川の自浄作用を考える上でとても重要な場である.そこで,実際に河床間隙水域に有機物トラップを埋設し,砂礫層中を移動する有機物量とその流向の実測を試みた.浸透流は河川の流軸に平行,斜め下向きであり,予想される地下水の流線とほぼ一致した.移動する有機物量は設置したトラップの容量を越えるほどの量であり,これについては2003年度以降も継続調査を実施する予定である.
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Research Products
(2 results)