2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660224
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大坪 政美 九州大学, 農学研究院, 教授 (80112316)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 為信 九州大学, 農学研究院, 助手 (60091378)
肥山 浩樹 九州大学, 農学研究院, 助手 (10208788)
東 孝寛 九州大学, 農学研究院, 助教授 (00181066)
田中 洋行 国土交通省, 港湾技術研究所・地盤調査研究室, 研究室長
江頭 和彦 九州大学, 農学研究院, 教授 (20038293)
|
Keywords | 塩類溶脱 / 圧密 / 鋭敏比 / 透水性 |
Research Abstract |
粘土層の塩類溶脱は,海水あるいは汽水状態で堆積した粘土層が,地質学的な時間スケールで被圧地下水にさらされることにより起こる。また人為的な行為,例えば,地下水のくみ上げによる粘土層中の水の移動,干拓に伴う表層水の粘土層への浸透,淡水湖の建設による淡水の粘土層での移動,なども塩類溶脱の原因となりうる。本研究では,乱さない有明粘土に塩類溶脱を施し,間隙水中の塩濃度の変化,溶脱による物理的性質および圧密特性の変化について調べた。この結果は,人為的な行為によって粘土層に塩類溶脱が起こったとき,粘土の圧密特性がどのように変化するかを予測するのに役立つ。 試料としては,諫早湾干拓中央部で採取したコア試料の一部(深さ2.5m)を用いた。試料の主要粘土鉱物はスメクタイトである。鋭敏比は10,間隙水中の塩濃度は海水に近い値である。この不撹乱試料と人為的に塩類溶脱を施した不撹乱試料,およびそれぞれを練り返した試料について標準圧密試験を行った。 塩類溶脱により間隙水中の塩素イオン濃度は10.8g/Lから10mg/Lまで低下し,その結果,乱さない試料のせん断強さに比べ練り返し強さは著しく低下し,それにより鋭敏比は400以上に増加した。溶脱により,乱さない試料の圧密降伏応力は15kPaから10kPaに,圧縮指数は2.40から1.71に減少した。透水量から求めた透水係数は,溶脱により43%減少した。圧密試験から求めた透水係数は,溶脱により乱さない試料で約50%,練り返し試料で25〜50%低下した。圧密係数は,溶脱により乱さない試料と練り返し試料のいずれにおいても約50%減少した。これは,主に透水係数の低下により生じたものである。
|