2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660237
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 敏 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (90191585)
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Keywords | セル成型苗 / セル成型トレイ / 移植後の生育 / 老化苗 / 画像解析 / 根系構造 / 分岐 / 伸長 |
Research Abstract |
園芸生産場面において急速に普及しているセル成型苗では,移植の遅れにより移植後生育が不良となりやすい.そこで本研究ではセル成型苗の移植後に形成される根系の構造を調べ,移植後の苗の生育を改善する方法を開発することを目的とした.本年度は,昨年度に確立した多数の根系画像を速やかに解析する画像処理技術を用いて,セル成型トレイへの薬品処理や形状の改造が移植後生育におよぼす影響を調べた.まず,根の伸展を抑制する根域制限用塗料を塗布したトレイと無処理トレイを用いてキャベツセル成型苗における移植直後の根の生育を比較すると,塗布トレイの苗では移植後に発生する根量は若干少なくなったものの,大きく発達する数本の根がみられるようになり,根系構造が改善される傾向が認められた.次に,根鉢の形成がセル内の播種用土における水分の滞留によって生じるという仮定のもとに,セル壁にスリット状の穴(溝)を開けて排水を促したトレイを用いて育成した苗の移植後生育を調べた.その結果,セル内の水分滞留を抑えた場合,根鉢形成の抑制効果はみられたものの移植後生育への明確な効果は見出せなかったが,潅水量の制御を工夫するなど検討の余地があることが示唆された. 以上,最終年度として本研究の成果を取りまとめると:(1)セル成型苗における根の活性を評価する方法,およびセル成型苗において移植直後に根鉢の周囲へ伸展する根の生育を簡便かつ迅速に評価する方法を確立した;(2)セル成型トレイの根域制限が苗の老化と移植後生育の不良(浅根性など)の主要因であることが示唆された;(3)根鉢形成を抑える目的で行われるいくつかの処理について移植後生育促進への効果が認められた.これらの成果はセル成型苗の品質を維持して移植後に速やかに根を広範囲に発達させる方法を確立する緒となるものである.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ohya T., Yoshida S., Kawabata R., Okabe H., Kai S.: "Biophoton emission due to drought injury in red beans : Possibility of early detection of drought injury"Jpn.J.Appl.Phys.. 41・1-7A. 4766-4771 (2002)
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[Publications] 江口壽彦, 荒木卓哉, 吉田 敏, 北野雅治: "水分欠乏状態におけるトマト果実からの木部汁液の逆流"九州の農業気象. II・11. 59-60 (2002)
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[Publications] 吉田 敏, 濱古賀道男, 藤 熏次, 立石淳一, 筑紫二郎: "環境制御装置における植物生育実験について"九州の農業気象. II・11. 65-66 (2002)
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[Publications] 王 学武, 吉田 敏, 中野明正, 筑紫二郎: "改造セル成型トレイにおけるキャベツセル成型苗の移植直後の生育について"根の研究. 11・4. 190 (2002)