2000 Fiscal Year Annual Research Report
食肉のテクスチャープロフィール特性のシミュレーション解析
Project/Area Number |
12660245
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
泉本 勝利 岡山大学, 農学部, 教授 (70003142)
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Keywords | 食肉 / テクスチャー / シミュレーション / せん断力 / コンピュータ解析 / 歯切れ / 歯ごたえ |
Research Abstract |
食肉の軟らかさを測定するためにWarner-Bratzlerせん断力値(SFV)測定機が多用されている.この測定機では最大せん断力値,SFV_<max>,しか測定できない.そこで,食肉・食肉製品の全せん断過程におけるSFVプロフィールを比較した.これらのSFVプロフィールの相違はプロフィールを規格化することで特徴を明瞭にすることができた.SFV_<max>は生肉ではせん断終点,ソーセージではせん断中期に認められた.生肉,ソーセージおよびハムの筋線維を主とする強度の最大値,MFT_<max>,はせん断中期のSFVに対応することが示唆された.SFV_<max>はソーセージでは試料直径と,生肉とハムでは試料直径の1.5乗との間に直線関係(p<0.01)が認められ,理論的推測と一致した. SFV_<max>/MFT_<max>の値と偏差は生肉,ハム,ソーセージの順に大きく,このことは試料中の結合組織の脆弱化に依存するものと考えられた.SFV_<max>/MFT_<max>に相当するSFV_<max>/SFV_<50>の割合はソーセージ(約1.1),ハム(約1.6),生肉(約2.2)の順に高くなり,また偏差も大きくなることが明らかになった.これらの値を比較すると,生肉に比べて加熱で脆弱化した結合組織であるハム,そしてカッターによる均質化で結合組織性をほとんどもたないソーセージの特徴とよく対応している.均質なソーセージと比べて,生肉やハムで偏差が大きい特徴は回帰線からの標準誤差に表れた.生肉は同じ筋肉でも結合組織の量的質的な存在状態が異なって不均一な故に,一定のSFV_<max>値を得ることが難しいことによる.ハムでは不均一な結合組織に加え,加熱の程度で結合組織の脆弱化や筋線維の硬化が異なるために,偏差が生じると考えられる. SFVプロフィールにおいて,生肉のようにせん断終点まで抵抗する特徴は,"歯切れ"の食感を示していると考えられる.一方,ソーセージのようにせん断中期において変形に抵抗する特徴は"歯ごたえ"の食感に対応していると考えられる.したがって,Warner-Bratzler SFV測定機によるSFV_<max>値は食肉・食肉製品の種類で異なるテクスチャーの測定をしていることになるので、テクスチャーの解明にはSFV_<max>のみではなくSFVプロフィールの特性解析で達成されることになる。そこで、この研究のSFVプロフィールのシミュレーション解析は食肉・食肉製品のテクスチャー特性の解明に有効な方法となると考えられる.
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Research Products
(1 results)