2000 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の小腸内消化能に対する膵外分泌の人為的変動効果
Project/Area Number |
12660246
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷口 幸三 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30093777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 剛人 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (30194632)
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Keywords | ヒツジ / 膵液 / 酵素活性 / 小腸 / 消化 |
Research Abstract |
反芻動物の小腸内における栄養成分の消化を最大にするのに必要な膵外分泌酵素の活性量を明らかにすることを目的として実験を行った。膵管と胆管ならびに十二指腸にカテーテル、第四胃と回腸にカニューレを装着した5頭のヒツジを供試した。乾草と濃厚飼料比3:7の飼料を維持エネルギーの1.5倍相当量給与し、膵液と胆汁を連続的に回収しながら、ペリスタポンプを用いて十二指腸に返還した。膵液返還は日分泌量の0,50,100,150,300%とする処理を設定し、第四胃と回腸の内容物を採取して各種栄養成分の消化量と酵素の返還日活性の関係を検討した。また膵液返還割合が膵外分泌酵素活性に及ぼす影響についても調べ、次の結果を得た。 1.膵液返還割合の増加に伴い、膵液の分泌量は低下したが、タンパク質分泌量には影響しなかった。 2.膵液返還割合の増加に伴い、各酵素の濃度は二次曲線的に増加し、リパーゼの日分泌量は大きく増えるが、他の酵素については日分泌量に変化がなかった。 3.アミラーゼとプロテアーゼの返還割合を0から50%に高めると、小腸内におけるデンプンとタンパク質の消化量が大きく増えるが、移行した基質量が少なかったために50%以上の返還では消化量の増加の程度は小さかった。 4.リパーゼとヌクレアーゼの日活性変動は脂質とRNA消化にほとんど影響しなかった。 これらのことから、飼養条件によっては、α-アミラーゼとプロテアーゼが反芻動物の小腸内におけるデンプンとタンパク質消化の律速酵素になる可能性が示唆された。 今後、膵液返還割合を細かく設定し、第四胃内にデンプンとタンパク質を注入することによって、小腸内でD基質の存在量を高めた条件下で、それらの消化性と膵外分泌酵素活性の人為的変動との関連性を追究する予定である。
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