2001 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の小腸内消化能に対する膵外分泌の人為的変動効果
Project/Area Number |
12660246
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 幸三 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30093777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 剛人 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (30194632)
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Keywords | ヒツジ / 膵液 / 酸素活性 / 小腸 / 消化 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、反芻動物の膵外分泌液を全量回収し、その返還量を人為的に変動させることにより、小腸内における栄養成分消化に必要な日酵素活性量を検討した。そのために、供試動物には膵液と胆汁の回収用カテーテルおよび膵液返還、基質注入、消化管内容物採取のための十二指腸、第四胃、回腸カニューレの装着手術を施した3頭の去勢ヒツジを用い、膵液の返還割合を100,75,50,25,0,125,150,300%とする処理期を設定した。前年度の成果を基に、本年度は小腸への基質移行量を増やすために、飼料給与以外にも第四胃内ヘデンプン(100g/d)とカゼイン(50g/d)を注入して、膵外分泌酵素であるα・アミラーゼとプロテアーゼの分泌に対する返還割合とデンプン、タンパク質消化に焦点を当てて実施した。 次の成果が得られた。 1. 膵液返還割合(X%)を0〜75%に増加させると、小腸内におけるデンプンの可消化量(Y g/d)は直線的に増加し、Y=0.61X+59.1(R^2=0.96,n=12)の式を得た。しかし75%返還で注入基質の大部分が消化された。 2. 上式から、ヒツジ小腸内では、膵液α-アミラーゼ活性が無くても、デンプンは59g/d消化され、膵液100%時で120g/d(5.8g/kg^<0.75>)消化可能と推定された。 3. タンパク質の消化量は膵液返還割合を0から25%に高めると増加したが、それ以上に返還しても消化量は増加しなかった。0%返還時でも10.3g/dの小腸内窒素消化量が認められた。 以上のことから、ヒツジの膵外分泌プロテアーゼ活性は非常に高く、蛋白質の小腸内消化の律速酵素とはならないこと、小腸へのデンプン移行量が代謝体重あたり5.8g/dを超えると膵液α-アミラーゼがデンプン消化の律速酵素となる可能性が示唆された。
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