2001 Fiscal Year Annual Research Report
家畜卵母細胞の成熟能力獲得過程におけるMAPキナーゼ活性化機構の変化とその誘導
Project/Area Number |
12660255
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮野 隆 神戸大学, 農学部, 助教授 (80200195)
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Keywords | 卵母細胞 / 成熟 / MAPキナーゼ / Cdc2キナーゼ / 発育 |
Research Abstract |
ブタ卵巣から直径0.5〜1.0mm,1.5mmおよび4〜5mm3種の卵胞を採取し,それぞれの卵胞から減数分裂再開能力のない直径100μmの卵母細胞,第一減数分裂中期まで減数分裂を進めることができる直径110μmの卵母細胞および第二減数分裂中期へと成熟可能な直径120μmの卵母細胞を取りだし,以下の実験を実施した。 1.発育を完了した卵母細胞では,成熟過程でCdc2キナーゼおよびMAPキナーゼ(ERK1およびERK2)がともに活性化されるが,第一減数分裂中期で停止する卵母細胞ではCdc2キナーゼは活性化されるもののMAPキナーゼの活性化は不完全であったことから,両卵母細胞におけるMAPキナーゼファミリーメンバーのp38MAPキナーゼおよびp90^<RSK>の存在と活性化について調べた。p38MAPキナーゼおよびp90^<RSK>はいずれの卵母細胞にも存在した。また,p90^<RSK>の活性化はいずれの卵母細胞においてもERKと同様な時間経過で起こった。 2.第一減数分裂中期で停止する卵母細胞を含む卵母細胞-顆粒膜細胞複合体をヒポキサンチン添加培養液中で減数分裂を休止させた状態で2日間前培養したのち体外成熟を誘起したが,第二減数分裂中への成熟は誘導できなかった。 3.減数分裂再開能力のない直径100μmの卵母細胞を含むコラーゲンゲルに包埋し,10ng/mlFSHと2mMヒポキサンチンを添加した培養液中で7日間培養した。ヒポキサンチン添加の有無に関わらず,約45%の卵母細胞は生存しており,平均直径は発育完了時の大きさである120μmへと増加した。また,卵母細胞はいずれも卵核胞期のままであった。体外で発育した卵母細胞を成熟培養したところ,ヒポキサンチン添加培養液中で発育した卵母細胞では減数分裂を再開する卵母細胞数は有意に増加し,また一部の卵母細胞は第二減数分裂中期へと成熟した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Moritake: "Hypoxanthine promotes the acquisition of meiotic competence in pig oocytes from early antral follicles during growth culture"J. Mamm. Ova Res.. 19(予定). (2002)
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[Publications] T.Miyano: "Change in cyclin B1 and MAP kinase molecules during maturation and fertilization of pig oocytes, in "Reproductive Biotechnology""H.Miyamoto and N.Manabe (eds.), Hokuto Shobo, Kyoto, Japan. 424 (2001)