2000 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス増強に着目した制癌剤の開発と獣医臨床応用
Project/Area Number |
12660266
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝口 満喜 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (70261336)
松田 彰 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90157313)
桑原 幹典 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10002081)
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Keywords | 白血病 / リンパ腫 / 制癌剤 / アポトーシス / カスパーゼ / 細胞死 / ネクローシス / 株化ガン細胞 |
Research Abstract |
本研究は、アポトーシスによる細胞死を効率的に引き起こすことを目指したヌクレオシド系増感剤を開発し、獣医領域で問題となるネコ白血病、イヌリンパ腫などの治療のための制がん剤の開発を目的とする。本年度は、計画に用いるモデル細胞としてヒト胃癌細胞MKN-45細胞とMOLT-4細胞の制がん剤による細胞死の機構を検討した。制がん剤としては1-(3-C-ethynyl-beta-D-ribo-pentofuranosyl)cytosine(Ecyd)と2'-chrolo-deoxyadenosine(Cl-dAde)を化学合成し、それぞれ検討した。その結果、両細胞ともそれぞれの制がん剤でカスパーゼファミリーの活性化を伴うアポトーシスを効率よく引き起こすことが明らかとなった。そのメカニズムには細胞によって差があり、MKN-45細胞についてはp53依存性のアポトーシスであり、MOLT-4の場合はp53非依存性、Fas活性化依存性のアポトーシスであることが明らかとなった。MKN-45細胞の場合は、BAXの増加とBCL-2の低下が起き、ミトコンドリアの機能低下、チトクロームCなどのアポトーシス活性化因子の遊離によってカスパーゼ3を活性化することが明らかとなった。一方、MOLT-4細胞の場合は、アポトーシス誘導に蛋白質合成を必要とし、FASの活性化、カスパーゼ8を活性化し、カスパーゼ3を活性化しアポトーシスを引き起こす経路がメインであることが明らかとなった。この結果は、細胞種に依存してアポトーシスを引き起こすシグナル経路の違いを意味している。また、それだけでは細胞死を起こさない量のEcydで処理した細胞は、ネクローシスを引き起こす放射線照射によって、効率よくアポトーシスを起こせることも明らかとなった。これは放射線と制癌剤併用によるアポトーシスの増感という意味で、臨床応用において重要な知見である。今後、本研究を広げ、動物細胞を用いて同様の研究を行い、臨床的な応用研究を行う予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kashiwakura, I.ら: "Radiation sensitivity of megakaryocyte colony-forming cells in human placental and umbilical cord blood"Radiation Research. 153. 144-152 (2000)
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[Publications] Iida, Y.ら: "Unique response of double-stranded oligonucleotides containing a single-8-oxo-7,8-dihydroguanine to γ-rays in the frozen aqueous state at 77K"Radiation Research. 154. 582-589 (2000)
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[Publications] Nomura, Y.ら: "2-Chloro-2′-deoxyadenosine induces apoptosis through the Fas/Fas ligand pathway in human leukemia cell line MOLT-4."Leukemia. 14. 299-306 (2000)
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[Publications] Tsuji, M.ら: "Neuroprotective effect of α-phenyl-N-tert-butylnitrone in gerbil hippocampus is mediated by the mitogen-activated protein kinase pathway and heat shock proteins."Neuroscience Letter. 282. 41-44 (2000)
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[Publications] T.Yamamori ら: "Roles of p38 MAPK, PKC and PI3-K in the signaling pathways of NADPH oxidase activation and phagocytosis in bovine polymorphonuclear leukocytes"FEBS Letter. 467. 253-258 (2000)
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[Publications] Y.Cui ら: "FMLP-induced formation of F-actin in HL60 cells is dependent on PI3-K but not on intracellular Ca^<2+>,PKC,ERK or p38MAPK"Inflammation Research. 49. 684-691 (2000)
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[Publications] 稲波修 ら: "放射線科学"酸化ストレスと細胞内シグナル伝達. 104-112 (2000)
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[Publications] 稲波修 ら: "細胞"アポトーシス伝達系路におけるフリーラジカル. 11-15 (2000)