2001 Fiscal Year Annual Research Report
腎線維化に係わるマクロファージ群の機能的役割の解明
Project/Area Number |
12660287
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (50150115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 康弘 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (90305657)
桑村 充 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (20244668)
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Keywords | 腎線維化 / 浸潤マクロファージ / 固着マクロファージ / 樹状細胞 / ラットモデル / マクロファージ様細胞株 / 筋線維芽細胞様培養株 / 形質転換 |
Research Abstract |
マクロファージは免疫機構において中心的な役割を担う。マクロファージは、その発生、分化、機能および免疫表現型に基づいて、浸潤マクロファージ(血液単球由来)、固着マクロファージ(組織球)、そして抗原提示能のある樹状細胞に大別される。しかし、それらマクロファージ群が腎線維化においてどのように係わるかについては追求されていない。本年度の研究では、このマクロファージ群の出現と機能的解析に加え、腎線維化に出現する筋線維芽細胞の特性についても追求した。 1.慢性的に形成される腎線維化モデルの作成と出現するマクロファージ群の免疫組織化学的解析:ラットにシスプラチンを7週間に亘り投与し、その後19週間観察したところ、初期では進行性の線維化が、後期ではその線維化が軽減するユニークなモデルが作成できた。このモデルでは、初期においては浸潤マクロファージと固着マクロファージが多く出現し、筋線維芽細胞の形成と相関することが示された。一方、樹状細胞は、初期においても多く出現するが、後期の回復期においても多くの出現が維持されていた。また、後期においてはリンパ球が増加することが示された。樹状細胞はMHCクラスIIなどの抗原を提示することから、この細胞がリンパ球の誘導に係わっていた可能性が示唆された。腎線維化には、異なるマクロファージ群が係わり、その動態と役割が異なることが示された。 2.筋線維芽細胞の特性解析:イヌの萎縮腎と上述のラットの慢性腎線維化モデルにおける筋線維芽細胞の特性を免疫組織化学的に解析したところ、尿細管間質に形成される筋線維芽細胞の一部は再生尿細管に由来する可能性が示された。また、豚尿細管上皮由来培養細胞にTGF-β1を添加したところ、筋線維芽細胞の様相が現れた。尿細管が筋線維芽細胞に変異することが実験的に示された。 3.TGF-β1に対するマクロファージと筋線維芽細胞の特性表現:線維化形成にはTGF-β1が重要な因子である。ラット由来のマクロファージ様細胞株(HS-P)と筋線維芽細胞様細胞株(MT-9)にTGF-β1を添加したところ、HS-Pはマクロファージ様の特性を失い筋線維芽細胞様の性状が現れること、一方、MT-9はその増殖が抑制されることが分かった。線維化病変では、マクロファージも筋線維芽細胞へ形質転換出来る可能性が示唆され、さらに形成されている筋線維芽細胞はTGF-β1によりアポトーシスに陥り、その結果瘢痕形成に係わる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sato, S., et al.: "Protective effect of taurine against renal interstitial fibrosis of rats induced by cisplatin"N-S. Arch. Pharmaco.. (In press). (2002)
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[Publications] Yamate, J., et al.: "Establishment and characterization of transplantable tumor line (KB) and cell lines (KB-P and KB-D8) from a rat thymus-derived dendritic cell sarcoma"Virchows Arch.. (In press). (2002)
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[Publications] Yamate, J., et al.: "Participation of different macrophage populations and myofibroblastic cells in chronically developed renal interstitial fibrosis following cisplatin-induced renal injury in rats"Vet. Pathol.. (In press). (2002)
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[Publications] Ide, M., et al.: "Macrophage populations, myofibroblastic cells, and extracellular matrix accumulation in chronically-developing rat liver cirrhosis induced by repeated injection of thioacetoamide"J.Toxicol.Pathol. (In press). (2002)
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[Publications] Yamate, J., et al.: "Differential effects of transforming growth factor-β1, a fibrogenic factor, on macrophage-like cells (HS-P) and myofibroblastic cells (MT-9) in vitro"Toxicol.Pathol.. 29(4). 483-491 (2001)
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[Publications] Yamate, J., et al.: "Effects of lipopolysaccharide on a macrophage-like cell line (HS-P) from a rat histiocytic sarcoma"J.Comp.Pathol.. 125(1). 15-24 (2001)