2001 Fiscal Year Annual Research Report
無機炭素濃縮関連遺伝子の転写調節ネットワークの解明
Project/Area Number |
12660300
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福澤 秀哉 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (30183924)
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Keywords | 二酸化炭素 / CO_2センサー / シグナル伝達 / 光合成 / 転写因子 / トランスポーター / ストレス応答 / 順化 |
Research Abstract |
水生光合成生物は,無機炭素濃縮機構(CCM)をもつ。このCCMは,無機炭素の供給が不足すると誘導され,逆に無機炭素が十分供給されると抑制される。CCMの制御に関わるCO_2センサーやシグナル伝達遺伝子,転写調節を受ける遺伝子群の全体像を解明する。 (1)CO_2濃度変動に応答する遺伝子の種類を,モデル光合成生物である緑藻クラミドモナスのEST解析によって明らかにした。細胞を種々のストレス条件(低CO_2条件、高CO_2、高温、栄養源飢餓など)で培養し、その細胞から抽出したRNAを用いて,約5万件のEST情報を得た。このEST情報を分類し,合計10,368個のcDNAを用いてcDNAマクロアレイフィルターを作製した。このフィルターを用いて,CO_2欠乏誘導性遺伝子をcDNAマクロアレイで59個同定した。 (2)低CO_2ストレスに順化するために必須な遺伝子Ccm1を単離した。CCM1タンパク質は、ジンクフィンガードメインをもち親水性が高い。Ccm1は,低CO_2に順化できない別の変異株cia-5の変異を相捕した。cia5の変異では、ジンクフィンガードメインのHis-54がチロシンに変化していた。また、Ccm1の発現は、CO_2や光に影響を受けず構成的であったので、CO_2シグナルの伝達には、ジンクフィンガーとCCM1タンパク質の修飾が重要である。cDNAアレイを用いてシグナル伝達因子CCM1のターゲット遺伝子を66個同定した。この中には、アニオントランスポーターに相同性を示すクローンが含まれていたことから、重炭酸イオンのトランスポーターである可能性が示唆された。 (3)CO_2応答性遺伝子Cah1の5'上流域を用いて、CO_2応答性が変化した調節変異株を8株単離した。このうち4株についてアレイ解析をして、調節が正常な遺伝子と異常な遺伝子を分類した。変異株の生理学的特性を考慮することにより、CO_2濃度の検出から遺伝子発現の調節に至るシグナル伝達経路が階層的であることを示唆するデータを得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mamedov TG 他: "Characteristics and sequence of phosphoglycerate phospatase from an eukaryotic green algae Chlamydomonas reinhardtii"J.Biol. Chem.. 276. 45573-45579 (2001)
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[Publications] Miura K 他: "Regulation of a carbon concentrating mechanism through CCM1 in Chlamydomonas reinhardtii"Functional Plant Biol.. 29. 1-9 (2002)
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[Publications] Fukuzawa H 他: "Ccm1, a regulatory gene controlling the induction of a carbon concentrating mechanism in Chlamydomonas reinhardtii, by sensing CO_2 availability"Proc. Natl. Acad. Sci. USA.. 98. 5347-5352 (2001)