2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
|
Keywords | 肢芽 / 指の分離 / 合指症 / 血管のリモデリング / 血管内皮細胞 / マトリックスメタロプロテイナーゼ / 血管新生 / プログラム細胞死 |
Research Abstract |
本年度に行った肢芽の形態形成機構、特に指の分離過程における血管のリモデリングについて、以下の事項が明らかになった。 1)マウス胎児(C57BL/6)では胎生12日頃に、肢芽の指放線が現れるとともに指間部に毛細血管網の形成が始まり、胎生13日までその密度を増やしながら発達する。しかし、この毛細血管網は血管内皮細胞が管腔構造をつくり、基底膜も認められるものの、α-smooth muscle actin陽性細胞は出現しないことから、この指間部毛細血管網の形成は壁細胞の分化を伴わないことが明らかになった。 2)しかし、胎生13日に指間部にプログラム細胞死が起こり始めるのに先立って指間部毛細血管網の基底膜および血管内皮細胞のPECAM-1/CD31の発現が消失するとともに指側に血管新生が起こる。血管内皮細胞のPECAM-1/CD31の発現が消失するとともにアポトーシスを起こす細胞が現れることから、アネキシンVとVE-カドヘリンを指標として、フローサイトメトリーにて解析したが、両者の一致は認められなかった。しかし、この時期の指間部にはマトリックスメタロプロテイナーゼのうち、少なくともMMP-2,MMP-3,MMP-9,MMP-14が発現していることも確認しているため、これらMMPsが血管内皮細胞のPECAM-1/CD31,VE-カドヘリンの細胞外ドメインを切断しているため両者が一致しない可能性が示唆された。 3)この毛細血管網の新生と退縮を連続的に繰り返すことによって、毛細血管は指側へ移動するものの細胞死を起こす関節予定域を除いて指原基には侵入しないことが確認され、指に発現するVEGFとコンドロモジュリン-1の相互作用による可能性が示唆された。 4)合指症モデルのHm/Hmマウスでは血管新生は起こるものの退縮が不完全であることが判明した。
|