2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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Keywords | マウス / 肢芽 / 口蓋 / TGF-β2 / TGF-β3 / 口蓋突起内側縁上皮 |
Research Abstract |
TGF-β3およびTGF-β2ノックアウトマウス(+/-)を交配により、異なる系統(C57BL/6J,129/Sv,FVB/N,SJL/J,ICR)へ移入して、ホモ接合子胎児(-/-)における口蓋裂および肢芽における指の分離の表現型を解析した結果、以下の知見を得た。 1)口蓋突起の癒合について ICR系統では、TGF-β3-/-胎児はすべて口蓋の前1/2部分のみが癒合する不完全口蓋裂(100%)を呈し、一方、近交系では、C57BL/6Jで-/-はすべて完全口蓋裂(100%)を呈する他、129/Sv, FVB/N, SJL/Jでも78%〜86%の頻度で完全口蓋裂を呈していた。また、TGF-β2-/-は、ICRでは-/-はすべて胎齢18日まで生存し、口蓋は正常に癒合していたのに対し、近交系ではいずれの系統でも-/-はすべて、口蓋が発生する以前の胎齢12日頃までに心臓の欠陥により死亡した。ところが、これらの近交系の交雑群(F1)では、-/-はすぺて胎齢18日まで生存し、口蓋は正常に癒合していた。本研究により、TGF-β2の発現は口蓋の癒合に必須ではなく、また、TGF-β3は口蓋の前1/2部分の癒合に必須ではないものの、後1/2部分では口蓋突起の成長と口蓋突起内側縁上皮の最終分化に必須であることが明らかとなった。 2)肢芽における指の分離ついて TGF-β2およびTGF-β3のダブルノックアウトマウスのホモ接合子(-/-)胎児では、指の分離における指間予定域のプログラム細胞死が野生型に比べて顕著に抑制されおり、交雑系では指の分離が阻害されていたが、ICR系統では指は正常に分離していた。 以上、近交系マウスでは使用したいずれの系統においても、劣性遺伝するModifier Geneが存在し、TGF-β3およびTGF-β2ノックアウトマウスにおける種々の表現型を修飾している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)