2002 Fiscal Year Annual Research Report
Whole-mount染色による人体の自律神経系とリンパ管系の局所解剖学的研究
Project/Area Number |
12670024
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
村上 弦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30157747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 史壯 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70291557)
佐藤 利夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80263002)
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Keywords | 自律神経系 / リンパ管系 / Whole-mount染色 / 子宮 / 基靭帯 / 骨盤内臓神経 / 広汎子宮全摘出術 / 局所解剖学 |
Research Abstract |
これまでの補助金が交付されてきた期間で,自律神経系とリンパ管系の3次元的な構築が外科的に問題になる部位として,平成12年度は腹腔神経叢と腸リンパ本幹の位置関係について検討し,平成13年度は膵頭後部リンパ節(No.13)及び総肝動脈リンパ節(No.3)から大動脈リンパ節(No.16)へ注ぐリンパ管の経路について検討してきた。 平成14年度の研究においては,子宮基靱帯に着目した。通常の自律神経温存子宮全摘出術では,基靱帯を血管部および神経部に分け,骨盤内臓神経を含むとされる後者を温存の対象にしている。15体の女性人体骨盤標本(65〜86歳)を用いて,子宮基靱帯内部を通る自律神経の走行を検討した。これらのうち,ホルマリン固定標本10体及び新鮮未固定標本2体については肉眼的に剖出して所見を観察し,残り3体の標本では組織学的観察(HE染色,ルクソールファスト青-ポディアン渡銀二重染色)を行った。その結果,(1)基靱帯は骨盤内臓神経を含んでいないこと,(2)基靱帯の底部及び背側縁には明瞭な靱帯構造が存在すること,(3)骨盤神経叢は基靱帯の血管成分からは分離していること,が明らかになった。この結果から,自律神経温存広汎子宮全摘出術において子宮傍組織の拡大切除を施行しうる可能性が示唆された。 子宮基靭帯と神経の位置関係及びその臨床応用については,2003年に行われる日本及び韓国の婦人科関係学会のシンポジウムテーマに選ばれ,発表講演を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hirai I, et al.: "Long descending lymphatic pathway from the pancreaticoduodenal region to the para-aortic nodes"Okajimas Folia Anatomica Japonica. 77(6). 189-200 (2001)
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[Publications] Hirai I, et al.: "Origin of the thoracic duct and pancreaticoduodenal lymphatic pathway to the para-aortic nodes"Journal of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery. 8(5). 441-448 (2001)
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[Publications] 村上 弦, 他: "婦人泌尿器科学のための解剖学"産婦人科治療. 83(5). 526-538 (2001)
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[Publications] Murakami G, et al.: "Last-intercalated node and direct lymphatic drainage into the thoracic duct from the thoracoabdominal viscera"The Japanese Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery. 50(3). 93-103 (2002)
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[Publications] Kato T, et al.: "Does the cardinal ligament of the uterus contain a nerve that should be preseraved in radical hysterectomy?"Anatomical Science International. 77(3). 161-168 (2002)