2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670045
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Research Institution | Osaka City University (Graduate School of Medicine) |
Principal Investigator |
久野 みゆき 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正継 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60195378)
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Keywords | プロトンチャネル / アシドーシス / 細胞膨化 / ミクログリア / 破骨細胞 / 発現調節 / pH調節 / プロトンシグナル |
Research Abstract |
膜電位依存性プロトン(H^+)チャネルは、非常に強いH^+排出能を特徴とするが、その活性は同じ組織細胞でも大きく変動する。私達は骨髄幹細胞よりsRANK ligand存在下で単核細胞から多核の破骨細胞が分化する過程でH^+チャネル活性の変化を調べた。単核〜5核の細胞では全例でH^+電流が検出されたが(45±12 pA/pF at +100 mV, n=9)、6核以上になると活性が殆ど検出できない細胞が見られるようになり平均電流密度は5核以内の細胞に比べ有意に小さかった(10±6 pA/pF, n=7)。活性化速度には核数による差は見られず、チャネルの発現あるいは活性化チャネルの数が分化過程で変化することが示唆された。一方、骨芽細胞系cell line(ST2)の存在下で破骨細胞を分化させると5核以下でもH^+電流は殆ど検出できず、複数の要因によるチャネル活性の制御が推測された。食細胞では、H^+チャネル活性がNADPH oxidase活性と強く関連することが知られている。NADPH oxidaseを活性化するPMAで刺激すると、単核〜5核の細胞ではほぼ全例で活性酸素の産生を示すNBT試験陽性となったのに対し、6核以上での陽性率は20%以下であった。単核〜5核の破骨細胞のH^+電流密度はPMAやDPI(NADPH oxidaseの阻害剤)では殆ど影響されず、6核以上の細胞ではPMAで増強される傾向を示した。またH^+チャネルに特有の高い温度依存性(high Q_<10>)は、細胞が膨化すると減少する(low Q_<10>)ことも明らかになった。これらの結果はH^+チャネル活性が細胞条件に密接に関連することを示唆しているが、細胞内環境をできるだけ温存した状態で検討するため、現在穿孔パッチ法の導入を図っている。結果の一部は国際H^+チャネルカンファレンス(2001年9月)で発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 久野みゆき: "骨代謝研究の歴史12:細胞内カルシウム研究史"Clinical Calcium. 11. 651-654 (2001)
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[Publications] Nakainura, F., Morihata, H., Matsuura, S., Kuno, M.: "Post-cultured development of basic electrophysiological properties of spinal neurons obtained from rat embryo"Brain Res.. 905. 245-249 (2001)
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[Publications] 酒井啓, 久野みゆき: "骨リモデリングとイオンシグナル:骨の細胞応答におけるチャネル・トランスポーターの役割"医学のあゆみ. 199・3. 199-202 (2001)
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[Publications] Mori, H., Sakai, H., Morihata, H., Sakuta, K., Kuno.M.: "A voltage-gated proton channel in murine osteoclasts during development from bone marrow cells"J.Bone Miner.Res.. 16. 2001 (2001)
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[Publications] Sakai, H., Mori, H., Morihata, H., Kawawaki, J., Shioi, A., Kuno, M.: "Proton-translocating subunit of a vacuolar type H^+-ATPase from osteoclasts enhances pH recovery from acid-load"J.Bone Miner.Res.. 16. 2001 (2001)
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[Publications] Sakuta, K., Morihata, H., Mori, H., Sakai, H., Kuno, M.: "Cell swelling as an intermediate signal leading to activation of a Cl^-channel in extracellular calcium-sensing of murine osteoclasts"Osaka City Med.J.. (in press).