2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670051
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
挟間 章博 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (60218394)
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Keywords | グルタミン酸 / 細胞膨張 / 低浸透圧 / チャネル / ATP / クロライド / グリア / C6 |
Research Abstract |
低浸透圧性膨張に伴うアミノ酸放出経路の同定にあたり、特にグルタミン酸に着目して、低浸透圧刺激に伴う細胞からのグルタミン酸放出を効率良く検出する実験系の確立を行った。申請時には、代謝型グルタミン酸受容体の強制発現系を用いたグルタミン酸の検出系を考案したが、強制発現細胞が安定して得がたいために、細胞から放出されるグルタミン酸を直接測定するシステムの開発を試み、成功した。その測定システムとは、グルタミン酸にNADH存在下でグルタミン酸脱水素酵素を作用させ、発生したNADを発色基質WST-8を用いて検出を行うものである。その結果、1μM以上の濃度のグルタミン酸を容易かつ迅速に測定できるようになった。このシステムを用いて、グリオーマ細胞株C6からの低浸透圧性グルタミン酸放出を測定した。低浸透圧刺激(200mOsm)をC6に与えると、細胞外グルタミン酸は刺激前の数μMから、10μM以上にまで増大する。このグルタミン酸放出は、温度変化にたいして影響をあまり受けず、グルタミン酸がトランスポータや開口放出の経路で放出されるのでなくチャネルにより放出されることが示唆された。また、グルタミン酸の膜透過路の候補であるClチャネルの阻害剤を加えてもグルタミン酸放出は抑制されなかった。さらに、従来低浸透圧性ATP放出を抑制することが知られているGdを加えてもグルタミン酸放出は抑制されなかった。これらの結果から、C6より放出されるグルタミン酸は、ClチャネルでもなくATP透過路とも別の透過経路より細胞外に放出されることが判明した。この成果は、平成13年度日本細胞生物学会シンポジウムで発表予定である。また、本研究の目的であるグルタミン酸放出経路の同定については、グルタミン酸の測定系が確立したことにより、グルタミン酸放出を抑制する抗体の作製を行う段階にあり、現在抗体作製は進行している状況である。
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