2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670051
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes,Center for Integrative Bioscience |
Principal Investigator |
挾間 章博 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (60218394)
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Keywords | グルタミン酸 / 細胞膨張 / 虚血 / グリア / C6 / チャネル / ATP / 低浸透圧 |
Research Abstract |
昨年度は低浸透圧性細胞膨張によるアミノ酸放出経路について調べてきたが、実際に生体内で問題になるのは低浸透圧による細胞膨張でなく虚血性低酸素条件による細胞膨張である。昨年度明らかにした低浸透圧条件によるグルタミン酸放出の機構が低酸素性細胞膨張についても当てはまるかどうかを代謝阻害剤(NaN3)を用いて薬剤性低酸素条件をつくることにより検討した。グルタミン酸の検出については、昨年度開発したグルタミン酸脱水素酵素と発色基質WST-8による検出システムを用いた。グリオーマ細胞株C6に対してNaN3(10mM)を投与して15分間静置すると、細胞外グルタミン酸濃度は投与前の数μMから、10μM以上にまで増大した。このグルタミン酸放出は、温度変化により影響を受けず、また、開口放出を抑制する薬剤投与によっても抑制されなかった。また、Clチャネルの阻害剤を加えてもグルタミン酸放出は抑制されなかった。また、細胞からのATP放出を抑制することが知られているGdを加えてもグルタミン酸放出は抑制されなかった。これらの結果は、低浸透圧性グルタミン酸放出の結果と完全に一致する。従って、低酸素性細胞膨張においてもグルタミン酸は低浸透圧の場合と同じ経路により放出されることが明らかとなった。この研究成果は、平成14年日本生理学会で発表予定である。このグルタミン酸の膜透過経路を明らかにするために、グルタミン酸放出を抑制する抗体の作成を試みているが、完全に放出を抑制する抗体を得ることが困難であるため、現在グルタミン酸の放出に関わる可能性がある既知のイオンチャネル・トランスポータとグルタミン酸放出との関係を調べている。
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