2001 Fiscal Year Annual Research Report
内在性液性因子としての腸内細菌由来エンドトキシンと環境ストレス
Project/Area Number |
12670061
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高木 厚司 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30243934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 金治 埼玉大学, 理学部, 教授 (50091963)
藤宮 峯子 滋賀医科大学, 助教授 (10199359)
須藤 信行 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60304812)
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Keywords | エンドトキシン / リポポリサッカライド / LPSトランスロケーション / 肝門脈 / フットショックストレス / インターロイキン6 |
Research Abstract |
本研究は、2年計画の2年目に当たり以下のような成果があった。 1)ラット肝門脈中のIL-6濃度がケージチェンジやフットショックストレス(FSS)等の軽度の環境ストレスにより上昇した。 2)同上昇が、循環血液中のエンドトキシン活性の中和により抑制された。 3)静脈系の各所(頚静脈、肝門脈、下大静脈肝静脈合流部、下大静脈肝静脈合流下部)に持続カニュレーションを挿入したラットモデルを使って、FSS時の血中IL-6濃度変化を同時観察した。その結果、下大静脈肝静脈合流部のIL-6濃度が他のどの部位よりも有意に高値を示した。さらに、肝門脈ではFSS30分後に、一過性にIL-6濃度が上昇したがその他の部位はFSS負荷60分後より有意な上昇が見られた。 4)回腸内に蛍光(FITC)標識したLPSを前もって注入したラットにFSSを負荷すると、一般静脈血でFITC-LPSが検出できること、最終的に肝臓組織中に集積することがわかった。 5)組織LPS含量が、腸間膜=腸間膜リンパ節>肝臓=脾臓の順に高値であったが、FSSにより、肝臓、腸間膜、腸間膜リンパ節のLPS含量は増加したが、脾臓は変化しなかった。 以上より、(1)腸間由来の微量のLPSが普段より生体内に侵入してきている事、(2)FSS等の軽度のストレスにより、腸間内より移行するLPS量が増加し、腸間周辺組織のIL-6産生・遊離を誘導している事、(3)肝臓は循環血液中のIL-6の主な標的臓器であり、軽度ストレス時に肝門脈中に遊離されるIL-6は、肝におけるストレス応答蛋白の合成を誘導し、ストレス耐性を高める役割を果たしている可能性がある事、等がわかった。今回の研究から、腸間由来LPSが生体のストレス応答に重要な役割を果たしている事が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yagi S et al.: "Enteric lipopolysaccharide raises plasma IL-6 levels in the hepatopotal vein during non-inflammatory stress in rat"福岡医学会雑誌. (In press). (2002)
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[Publications] Katafuchi T et al.: "Thermotherapy for Neoplasma, Inflammation, and Pain"Springer-Verlag. 248 (2001)