2000 Fiscal Year Annual Research Report
バゾプレッシン分泌に及ぼすストレス反応系、体温調節系と浸透圧調節系の相互連関
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12670065
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鷹股 亮 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00264755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 倫之 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90305566)
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Keywords | バゾプレッシン / ストレス / エンドトキシン血症 / 身体運動 / アンギオテンシンII / 浸透圧調節 / 視床下部-下垂体軸 |
Research Abstract |
バゾプレッシン分泌の主な刺激は、細胞外液(血漿)浸透圧の上昇であるが、各種ストレスが浸透圧性バゾプレッシン分泌を修飾している可能性がある。ストレスのバゾプレッシン分泌に対する影響を2つの異なる実験で検討した。 エンドトキシン血症時のバゾプレッシン分泌とそのメカニズム(ラットを用いた実験) ラットの静脈内にリポポリサッカライド(LPS)を投与(125μg/kg;iv)すると血漿のバゾプレッシン濃度が著しく上昇し、更に飲水行動が起こった。この際、血漿浸透圧および血漿量の変化が認められなかった。LPS投与前にラットの脳室内にAT1レセプターアンタゴニストであるLosartanを投与すると、LPS投与によるバゾプレッシン分泌および飲水はほぼ完全に抑制された。以上より、エンドトキシンは恐らく脳内のレニンーアンギオテンシン系を直接活性化することによるバゾプレッシン分泌を引き起こしている可能性が示唆された。次年度は、更に詳細なメカニズムの検討を行う予定である。 運動時のバゾプレッシン分泌調節(ヒトを用いた実験) 運動時のバゾプレッシン分泌は、主に運動による血漿浸透圧の上昇がその原因であるが、運動時の浸透圧上昇以外の因子の分泌に対する寄与を明らかにするために、負荷漸増運動時の血漿浸透圧と血漿バゾプレッシン濃度との関係を、高張性食塩水を輸液した際のこれらの関係と比較した。漸増負荷運動時の血漿浸透圧と血漿バゾプレッシン濃度との関係は、高張性食塩水輸液時と比べて以下の特徴があった。1)バゾプレッシン上昇が始まる血漿浸透圧が高い(バゾプレッシン分泌の浸透圧閾値が高い)。2)閾値以上の浸透圧において浸透圧上昇に対する血漿バゾプレッシン濃度の上昇が大きい。3)血漿バゾプレッシン濃度が急激に上昇する際に血漿ACTH濃度の上昇も認められた。以上より、運動時のバゾプレッシン分泌にストレスが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Takamata A,Nose H,Kinoshita T,Hirose M,Itoh T, and Morimoto T: "Effect of acute hypoxia on vasopressin release and intravascular fluis during dynamic exercise in humans."Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 279. R161-R168 (2000)
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[Publications] Nakajima Y,Mizobe T,Takamata A,and Tanaka Y: "Barorereflex modulation of pheripheral vasoconstriction during progressive hypothermia in anesthetized humans."Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 279. R1430-R1436 (2000)
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[Publications] Takamata A,Yoshida T,Nishida N,Morimoto T: "Relationship of osmotic inhibition in thermoregulatory responses and sweat sodium concentration in humans."Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 280. R623-R629 (2001)