2000 Fiscal Year Annual Research Report
食事誘導性熱産生における浸透圧受容からエネルギー消費に至る生理機構
Project/Area Number |
12670075
|
Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
大坂 寿雅 国立健康・栄養研究所, 老人健康・栄養部, 主任研究官 (30152101)
|
Keywords | 熱産生 / 浸透圧受容器 / 腸 / 食物成分の生理作用 |
Research Abstract |
麻酔動物での食事誘導性熱産生の新たなモデルを開発する目的で、十二指腸カニューレを用いて各種栄養素溶液を注入したときの熱産生反応を調べた。一晩絶食後にウレタン麻酔したウィスターラットの腹部を正中切開し、前胃に開けた小孔からカニューレを十二指腸に挿入して留置した。5-20%ブドウ糖、0.9-3.6%食塩水、20%メチルブドウ糖、20%果糖、7.2%尿素、5-10%のグリシン、アルギニン、スレオニン、セリン溶液を10ml/kg,10分間で投与した。呼気ガス分析により熱産生量と呼吸交換率を、深部体温の代表として結腸温度を測定した。ブドウ糖や果糖の溶液を注入すると呼吸商の上昇を伴って熱産生量が増加した。この反応は投与後約1時間でピークになり、3時間でも元のレベルより高いままであった。結腸温は約0.5度上昇した。この反応によって投与した糖のエネルギー量の9-16%が消費された。しかしながら、栄養素でない食塩水やメチルブドウ糖溶液の投与によっても熱産生量が増加した。このときは呼吸交換率は変化しなかった。アミノ酸溶液の投与によっても熱産生量が増えたが、この反応は投与したアミノ酸の分子数に比例しており、投与したアミノ酸の重量とは相関しなかった。尿素溶液の投与では熱産生は少なかった。なお、腸内投与したのと同量の食塩を30分間かけて大腿静脈や肝門脈内に投与すると、投与後に一時的な熱産生反応が起きたが、その大きさは腸内投与に比べて有意に小さかった。腸内に各種栄養素を投与したときの熱産生反応は、溶液の浸透圧に反応したものであることが分かった。静脈内投与に比べて腸内投与の場合の熱産生反応が大きかったことから、浸透圧受容部位の少なくとも一部は腸内にあると考えられる。この標本は食事誘導性熱産生の浸透圧成分を研究する上でのよいモデルであることが分かった。
|
Research Products
(1 results)