2001 Fiscal Year Annual Research Report
食事誘導性熱産生における浸透圧受容からエネルギー消費に至る生理機構
Project/Area Number |
12670075
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
大坂 寿雅 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 栄養所要量研究部, 主任研究員 (30152101)
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Keywords | 熱産生 / 浸透圧受容器 / 腸 / 食物成分の生理作用 / アドレナリン / 交感神経系 / 迷走神経 |
Research Abstract |
食事誘導性年津産生において腸の浸透圧受容器が重要な役割を果たしていることを昨年見出した。今年度は腸の浸透圧刺激が最終的に全身の熱産生に至る生理機構を解析した。迷走神経を横隔膜下で両側切断するとウレタン麻酔ラットの十二指腸に3.6%食塩水を注入して誘起される熱産生反応の初期1時間の反応が消失したが、それ以降の熱産生反応は対照動物と同様に誘起された。アトロピン前処置は効果がなかったので、迷走神経中の遠心性神経は熱産生に関与しておらず、求心性神経が浸透圧情報を脳に伝えているものと考えられる。キャプサイシン脱感作ラットでも高張液による熱産生は正常であったので、侵害受容器は関与していない。内臓神経を副腎神経節下で切断しても反応に影響しなかったので、この場合の浸透圧情報は内臓神経を介していない。また、内臓交感神経も重要な役割を果たしていない。次に、熱産生の遠心性機構を明らかにする目的で、内臓神経の副腎への分枝の切断または副腎髄質の摘除を行ったところ初期1時間の熱産生反応が消失した。後期の反応は残った。βアドレナリン受容体拮抗薬のプロプラノロールの前処置を行うと全期間の熱産生反応が大きく減弱した。血漿中のモノアミン濃度は刺激後20分でアドレナリンが有意に上昇したが、60分以降は元のレベルに戻り、ノルアドレナリン濃度は刺激後2時間まで有意に高かった。したがって熱産生の初期反応は副腎から分泌されるアドレナリンが、長期にわたる反応には交換神経終末から分泌されるノルアドレナリンが関与していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Osaka, T., Kobayashi, A.Inoue, S.: "Thermogenesis induced by osmotic stimulation of the intestines in the rat"Journal of Physiology. 532. 261-269 (2001)
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[Publications] Kobayashi, A., Osaka, T., Inoue, S., Kimura, S.: "Thermogenesis induced by intravenous infusion of hypertonic solutions in the rat"Journal of Physiology. 535. 601-610 (2001)
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[Publications] Okane, N., Osaka, T., Kobayashi, A., Inoue, S., Kimura, S.: "Effects of the capsaicin analogue resiniferatoxin on thermoregulation in anesthetized rats"Journal of Thermal Biology. 26. 345-349 (2001)
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[Publications] Wang, J., Osaka, T., Inoue, S.: "Energy expenditure by intracerebroventricular administration of orexin to anesthetized rats"Neuroscience Letters. 315. 49-52 (2001)