2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮機能よりみた肺高血圧症の発症機構と治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12670089
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大池 正宏 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70271103)
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Keywords | 肺高血圧症 / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / カルシウム / L-アルギニン |
Research Abstract |
肺高血圧症の動物モデルとして、Monocrotaline pyrrole(MCTP)の投与による肺動脈の形態的機能的変化が知られている。本研究ではMCTP処理内皮細胞のNO産生能を中心とした機能変化について検討した。 ウシ肺動脈の血管内皮細胞をMCTPで処理すると、濃度及び期間依存的に細胞の著しい巨大化を認めた。このMCTP処理した内皮における細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)変化及びNO産生能をFura-2とDAF-2を用いて測定した。その結果、MCTP処理した細胞においてもAcetylcholine(ACh)投与によってCa^<2+>濃度の上昇を認めたものの、その上昇度は対照内皮に比較して有意に低く、また同様にAChによるNOの産生量もMCTP処理内皮で有意に低下していた。更に我々は、ウシ肺動脈平滑筋細胞を包埋したコラーゲンゲルにMCTP処理した内皮細胞を重層することで肺高血圧症のin vitroモデル血管を作成し、内皮依存性弛緩反応を観察した。その結果、MCTP処理した内皮細胞を重層したゲルにおいては弛緩反応がほとんど観察されず、内皮におけるNO産生障害がMCTPによる肺高血圧の原因として強く示唆された。一方、内皮型NO合成酵素(eNOS)の発現はMCTP処理した内皮においても正常に保たれていることがRT-PCRで明らかになり、MCTP処理内皮においてNOの産生量を保つ手段として、基質量を増やす手法が考えられた。その結果、eNOSの基質であるL-Arginineの過剰濃度(10mM)存在下ではMCTP処理内皮重層ゲルでは対照内皮重層ゲルと同様の弛緩反応を認めた。 以上の結果より、MCTP処理内皮ではNOの産生能が低下していること、L-Arginineの過剰投与によってそれが改善することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masahiro Oike,Chiwkak Kimura,Tetsuya Koyama,Miyuki Yoshikawa,Yushi Ito: "Hypotonic stress-induced dual Ca^<2+> responses in bovine aortic endothelial cells."American Journal of Physiology. 279巻2号. H630-H638 (2000)
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[Publications] Chiwaka Kimura,Tetsuya Koyama, Masahiro Oike, Yushi Ito: "Hypotonic stress-induced NO production in endothelium depends on endogenous ATP."Biochemical & Biophysical Research Communications. 274巻3号. 736-740 (2000)
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[Publications] Chiwaka Kimura,Masahiro Oike,Yushi Ito: "Hypoxia-induced alterations in Ca^<21+> mobilization in brain microvascular endothelial cells."American Journal of Physiology. 279巻5号. H2310-H2318 (2000)
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[Publications] Chiwaka Kimura,Masahiro Oike,Tetsuya Koyama,Yushi Ito: "Impairment of endothelial nitric oxide production by acute glucose overload."American Journal of Physiology. 280巻1号. E171-E178 (2001)
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[Publications] Tetsuya Koyama,Masahiro Oike,Yushi Ito: "Involvement of Rho-kinase and tyrosine kinase in hypotonic stress-induced ATP release in aortic endothelial cells."Journal of Physiology. 530巻(印刷中). (2001)