2000 Fiscal Year Annual Research Report
サル洞房結節細胞の自発性興奮機序に関するイオンチャネル解析と薬理効果
Project/Area Number |
12670093
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 広康 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90150309)
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Keywords | サル / 洞房結節細胞 / 自動能 / ペースメーカー電流 / イオンチャネル / 受容体 |
Research Abstract |
サル洞房結節細胞の自発性拍動に関するイオンチャネル電流機序と薬理効果を解明することに目的がある。ヒトに最も類似している動物としての医学的価値は非常に高いと考えている。現在、進行中である。 これまで、最も時間を割いたのは、拍動心臓摘出後の細胞分離である。霊長類研究所(犬山市)で、細胞分離までやらせてもらって、分離した洞房結節細胞を自大学の研究室でパッチクランプ膜電位固定法による実験を可能なかぎり施行している。洞房結節細胞の新しいサル心臓に適した単離法を開発して、洞房結節細胞の自動性と膜イオン電流を調べている。ラットの場合、これまでの動物(ウサギ、モルモット)の洞房結節細胞の電気生理学的特質とは全く違っていて、その電気生理学的特異性を強く意味付けたが、現在のところ、大きな特徴は見つかっていない。 各種心筋イオンチャネルへの作用について、ホールセルを主にパッチクランプ法により解析を行なっている。ペースメーカー細胞にしか存在しない電流が存在する。それは、過分極活性化内向き電流(I_f)や脱分極パルスで不活性化しない持続性の内向き電流(I_<st>)である。これらのチャネル電流を調べるには、洞房結節細胞を使って解析するしかない。そういう意味で、現在、私個人の研究のなかでの洞房結節細胞の位置づけがある。チャネルばかりでなく、受容体感受性の特異性も保有していると思われる。 ウサギ洞結節細胞の電気生理学、および薬理学は、昔から多くの実験が、私を含めて行われ、よく知られている。しかし、サル洞房結節細胞に関しては、その難易度から、世界中、全く存在していない。したがって、自発性拍動メカニズムに関する電気生理学的解析は全くない。この研究では膜イオン電流の変化・異常から発生する病態への予防と治療のために、より詳細に解明したい。これらの電流の機序、電気生理学的特性を把握しておくことは、洞性不整脈、心不全、突然死などの循環器系疾患に対する詳しい原因解明と予防の一助となるものと考える。
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Research Products
(1 results)