2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤元 次郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60282521)
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Keywords | 細胞周期 / プロテインキナーゼ / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
LATSキナーゼファミリー分子の解析を行い、以下の結果を得た。 1)LATS-1,LATS-2の位置する染色体座位近辺にLOHが見られる癌の組織サンプルおよびそれに由来する細胞株よりDNA,RNAを抽出し、サザン・ノザンブロット法、PCR-SSCP法により遺伝子の変異を検索した。組織サンプルの入手は京都大学医学部(肝臓癌、骨肉腫)、愛知県がんセンター(食道癌)から行った。肝臓癌、骨肉腫については(約60例)PCR-SSCP法による異常の検出はできなかった。食道癌については、それに由来する細胞株12株を用いて微小管阻害剤により起こるLATS-1のリン酸化を検討したところ、そのうちの2株ではリン酸化が観察されなかった。これまでに同定したLATS-2欠損細胞についても同様の結果が得られることから、これら食道癌由来細胞株においてもLATS-2蛋白質の異常が生じている可能性が高く、現在直接塩基配列決定により検討を加えている。 2)LATS-2がLATS-1と会合することを明らかにし、その会合はLATS-2のN末端約60アミノ酸の領域を介していることを変異LATS-2蛋白質を用いた実験により示した。 3)HeLa細胞にLATS-2 cDNAを導入し、過剰発現による細胞周期の異常をフローサイトメトリーにより解析した。野生型LATS-2の過剰発現によりHeLa細胞のM期後期での停止が観察されたが、キナーゼ活性を欠いた変異体、およびLATS-1との結合ができない変異体ではこの細胞周期異常が見られなかった。これはLATS-2がLATS-1と協同してそのキナーゼ活性により細胞周期制御機構に抑制的に関わっている可能性を示唆するものである。
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