2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤元 次郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60282521)
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Keywords | 細胞周期 / プロテインキナーゼ / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
LATSキナーゼファミリー分子の解析を行い、以下の結果を得た。 1.今までに同定されているLATS2欠損細胞(腎臓がん由来RC4, ACHN細胞)を用いて微小管阻害剤により誘導される増殖抑制、細胞死シグナルヘのLATS2キナーゼの寄与を検討した。脱重合阻害剤であるTaxolにより微小管異常を誘導し細胞の生存率を調べたところ、LATS2欠損細胞はこれらの微小管阻害剤に抵抗性を示した。またこのときの蛋白質の発現およびリン酸化を検討したところ、LATS1、Raf-1、Bcl-2などのリン酸化がみられず、アポトーシスの際にcaspasesの基質となるPARPの切断も観察されなかった。Bcl-2のリン酸化は微小管異常により誘導されるアポトーシスの際に特徴的に起こることが報告されていることから、LATS2欠損細胞においては微小管阻害剤による細胞死シグナルが誘導されないことによりアポトーシス抵抗性を示しているものと考えられた。ここでみられたLATS2欠損細胞のアポトーシス抵抗性がLATS2の機能によるものであるかを明らかにするため、組み換えアデノウイルスによりLATS2をLATS2欠損細胞に導入してその表現型を検討した。アデノウイルス感染細胞にLATS2の発現を誘導(Tetプロモーターによる)すると、微小管阻害剤に対して感受性を示し、PARPの切断、Bcl-2、LATS1のリン酸化も観察されるようになった。これよりLATS2は微小管阻害剤により誘導される細胞死のシグナル伝達において重要な役割を持っていることが強く示唆された。 2.LATS2蛋白質のN末端部分(1-387 aa, baitA)、それに続く部分(387-620 aa, baitB)をそれぞれbaitとしてHeLacDNAライブラリーを用いて酵母Two-Hybrid法によるスクリーニングを行った。得られたポジティブクローンを用いて免疫共沈法によりLATS2蛋白質との結合を確認した結果、baitAに,対しては機能未知の蛋白質であるOIP5が、baitBに対してはLIM蛋白質であるAjubaがそれぞれ会合する蛋白質として同定された。これらの蛋白質は細胞内局在がLATS2と一致し、in vitroにおいてLATS2の良い基質であることが明らかになった。
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