2000 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを制御する新規蛋白質の同定と機能の解析
Project/Area Number |
12670139
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 助手 (50274064)
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Keywords | GSK-3β / Axin / β-catenin / APC / Idax / Dvl / Duplin / Axam |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達経路は細胞の増殖や分化、初期発生時の体軸形成など様々な細胞機能を制御することが明らかになってきた。Wntのシグナルは、Frizzled、Dvl、GSK-3βの活性を抑制してβ-カテニンへと伝達され、β-カテニンが細胞内に蓄積し、TCFとの複合体が形成されて標的遺伝子の発現が促進される。私共が見出したGSK-3β結合蛋白質Axinは、癌抑制遺伝子産物APCや、β-カテニン、Dvlと複合体を形成することや、GSK-3βによるβ-カテニンのリン酸化と分解を促進することが明らかになった。本年度は、Dvl、Axin、β-カテニンと結合する新規蛋白質を同定して、その機能の解析を行った。新規Dvl結合蛋白質IdaxはDvlと結合することによりDvlのAxinへの結合を阻害し、Wnt依存性の細胞内β-カテニン蓄積やTCF転写活性促進を抑制した。アフリカツメガエル初期胚にIdaxを導入するとsiamoisの発現の抑制と胚の腹側化が生じ、WntやDvl依存性の二次体軸形成は抑制されたがβ-カテニン依存性の二次体軸形成は抑制されなかった。新規β-カテニン結合蛋白質Duplinは、核内に局在してβ-カテニン/TCF複合体の形成を阻害した。Duplinは細胞質内のβ-カテニンの安定性を変化させなかったが、ツメガエル初期胚で、Wntやβ-カテニン依存性の二次体軸形成を抑制したので、β-カテニンの下流でWntシグナルを抑制することが明らかとなった。新規Axin結合蛋白質AxamはAxinと結合することによりAxinとDvlの結合を阻害した。SW480細胞にAxamを導入するとβ-カテニンが分解し、アフリカツメガエル初期胚にAxamを導入すると、Wnt依存性の二次体軸形成が抑制されたので、AxamはDvlのAxinに対する結合を抑制することにより、Wntシグナル伝達経路を負に制御することが明らかとなった。したがって、異なる作用機序でWntシグナルを抑制的に制御する3種類の新規蛋白質の同定と機能解析に成功しており、本年度の計画はほぼ達成されたと考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hino,S.: "Inhibition of Wnt signaling pathway by Idax, a novel Dvl-binding protein."Mol.Cell.Biol.. 21・1. 330-342 (2001)
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[Publications] Hinoi,T.: "Complex formation of Adenomatous polyposis coli and Axin facilitates glycogen synthase kinase-3β-dependent phosphorylation of β-catenin and downregulates β-catenin."J.Biol.Chem.. 275・44. 34399-34406 (2000)
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[Publications] Kadoya,T.: "Inhibition of Wnt signaling pathway by a novel Axin-binding protein."J.Biol.Chem.. 275・44. (2000)
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[Publications] Sakamoto,I.: J.Biol.Chem.. 275・42. 32871-32878 (2000)
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[Publications] Fukui,A.: "Effects of rat Axin domains on axis formation in Xenopus embryos."Develop.Growth Differ.. 42. 489-498 (2000)