2001 Fiscal Year Annual Research Report
胃腺癌の胃型形質、腸型形質、および両形質混在型に分類した分子病理学的解析
Project/Area Number |
12670178
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 博昭 順天堂大学, 医学部, 講師 (50296836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 忠和 国立がんセンター, 中央病院・臨床検査部, 病理医長 (70119808)
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Keywords | 胃癌 / 胃型形質 / 腸型形質 / 粘液形質 / 癌抑制遺伝子 / LOH / マイクロディセクション / AFP産生性胃癌 |
Research Abstract |
形質や組織分化能を考慮し、前年度より胃癌の研究を行っており、成果を以下2つに分けて報告する。 I.高分化型早期胃腺癌の粘液形質と遺伝子解析:前年度よりLOH、hMLH1遺伝子メチル化の状態を解析し、特に混合型形質に関して以下に記す知見を得た。1)17pLOHは比較的早期から認められる症例が多い。2)粘膜病変で高分化混合形質型粘液形質を有する腫瘍であっても、genetic progressionにより、分化度が低くなり、形質発現も弱くなる。3)混合型形質を示す腫瘍でも同じ部位に両形質を有する症例が存在する。遺伝子レベルでも両形質分化能を有する単一な腫瘍クローン細胞が存在する。4)混合型形質でも、胃型と腸型形質が、部位毎に異なる症例がある。腫瘍細胞のgenetic progression/genetic divergenceに基づく不均一な亜型クローンの派生による。5)腸上皮化生粘膜、及び腫瘍各部位で広範囲にhMLH1のメチル化を検出した。正常粘膜でもメチル化の認められる症例も存在した。以上より、分化型の腫瘍にも多くの腫瘍には胃型、胃型腸型形質を持つものが多数存在し、その形質発現パターンは、腫瘍クローンの持つ多分化能や、腫瘍進展過程における遺伝子変異のgenetic progression, genetic divergenceなどの現象による不均一な腫瘍亜型クローンの出現に基づく事が明らかとなった。また腫瘍発生には、粘膜の障害に伴い、不完全型腸上皮化生を示し、両形質への分化能を有するクローン由来の可能性が示された。また、分化型癌から進展し、浸潤進行癌、低分化型癌などへ至る経路も示唆された。 II.AFP産生性胃癌の形質と遺伝子変異:胃癌には希にAFP産生性の癌病変部が共存することがある。組織学的には原始腸管に類似するものや、肝細胞に類似しhepatoidと言われるものがある。今回我々は、LOH解析を行い、腫瘍成分の遺伝的特徴と組織分化能との関係を明らかにした。 1)ほとんどは単一クローン由来であり広範なLOH(FAL=0.709)を有する腫瘍である。 2)腫瘍の一部分に限ってのLOHが13qその他の染色体領域で認められ、遺伝的不均一性が明らかとなった。よって、単一クローン由来でも、遺伝子変化の蓄積、分散現象がAFP産生能および組織分化能に密接に影響している事が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujii, H., et al.: "Genetics of synchronous uterine and ovarian endometrioid carcinoma : combined analyses of loss of heterozygosity, PTEN mutation and microsatellite instability"Human Pathology. (In press). (2002)
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[Publications] Fujii, H., et al.: "Loss of heterozygosity in the clonal evolution of flat colorectal neoplasias"Journal of Pathology. (In press). (2002)
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[Publications] Jiang WW, Fujii H, et al.: "Accumulative increase of loss of heterozygosity from leukoplakia to foci of early cancerization in leukoplakia of the oral cavity"Cancer. 92(9). 2349-2356 (2001)
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[Publications] Kushima, M., Fujii, H., et al.: "Simultaneous squamous cell carcinomas of the uterine cervix and upper genital tract : loss of heterozygosity analysis demonstrates clonal neoplasms of cervical origin"International Journal of Gynecololgical Patholology. 20(4). 353-358 (2001)
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[Publications] Fujii, H., et al.: "Frequent genetic heterogeneity in the clonal evolution of gynecological carcinosarcoma and its influence on phenotypic diversity"Cancer Research. 60(1). 114-120 (2000)
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[Publications] Yamano, M., Fujii, H., et al.: "Genetic progression and divergence in pancreatic carcinoma"American Journal of Pathology. 156(6). 2123-2133 (2000)