2000 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患の病因としてのヒト内在性レトロウイルスに関する研究
Project/Area Number |
12670193
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 仁 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20232192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石津 明洋 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60321957)
柴田 雅彦 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員 (80301886)
吉木 敬 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60220612)
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Keywords | ヒト内在性レトロウイルス / トランスジェニックラット / 遺伝子発現 / 遺伝子クローニング / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
ヒト内在性レトロウイルスの自己免疫疾患への病因論的関与の可能性について研究を進めるべく、本年度は既に作製した1コピー型ヒト内在性レトロウイルスHERV-R遺伝子トランスジェニックラット(ERVラット)を用いて、各臓器での導入遺伝子の発現量の検定や蛋白発現の同定およびその免疫原性などについての検討を行った。また、新しいヒト内在性レトロウイルスのクローニングを試みた。その結果、以下の研究成果を得た。 1)ERV ラットでは導入遺伝子は涙腺、唾液腺を主体とした組織特異的高発現を示すとともに、妊娠12日頃から胎盤でも発現することを明らかとした。 2)合成ペプチドを免疫して作製した抗HERV-R抗体は涙腺で導入遺伝子から想定される85kDaの糖蛋白の発現を同定した。 3)ERVラット皮膚を正常同系ラットに移植すると拒絶されることより、導入遺伝子の発現は免疫反応の標的となり得ると考えられた。 4)胎盤や自己免疫疾患の標的となる培養血管内皮細胞あるいは慢性リウマチ関節滑膜からのcDNAを作成し、既知の各種ヒト内在性レトロウイルスとの交叉反応性によりクローニングを行っているが、現在のところ新しいクローンは得られていない。一方、この過程で今まで正常組織での発現が確認されていない内在性レトロウイルスが少数の胎盤で発現していることを確認した。 次年度はERVラットではHERV-R発現誘導サイトカインの投与や抗HERV-R抗体、HERV-R反応性T細胞の投与などによる疾患発症誘導実験を中心に研究を進める。一方、新しいヒト内在性レトロウイルスについてはクローニングを引き続き行う。また、内在性レトロウイルス用のスモールスケールのDNAアレイを作成し、各種自己免疫疾患患者末梢血リンパ球を用いたスクリーニングシステムの樹立を計る。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Xiuyun Jiang: "A rat model for human T lymphocyte virus type I-associated myeloneuropathy down-regulation of bcl-2 expression and increase insensitivity to TNF-α of the spinal oligodendrocytes"Journal of Neuroimmunology.. 106. 105-113 (2000)
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[Publications] Osamu Ohya: "Human T-lymphocyte virus type I (HTLV-I) -induced myeloneuropathy in rats : Oligodendrocytes undergo apoptosisin the presence of HTLV-I"APMIS. 108. 459-466 (2000)
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[Publications] 田中敏: "ヒト内在性レトロウイルスERV3遺伝子導入ラットの樹立とその分子生物学的および病理組織学的解析"北海道医学雑誌. 75. 105-116 (2000)
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[Publications] 石津明洋: "動物モデルとリウマチ性疾患"Rheumatology Clinical Updata. 4. 40-41 (2000)
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[Publications] 石津明洋: "血管炎のモデル動物"最新医学. 55. 15-19 (2000)