2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670201
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 康弘 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (90027110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平芳 一法 京都大学, 再生医科学研究所, 講師 (80199108)
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Keywords | 肺胞II型細胞 / 硫酸転移酵素 / 肺傷害 / MT-MMP |
Research Abstract |
肺胞型上皮細胞からI型上皮細胞への移行に伴いNDSTが発現することを試験官内実験で示した(昨年度)。本研究では、生体内でのNDSTの発現を調べるためこの酵素に対する抗体を作成し、ラットの胎生期、出生後の肺、および生後2ヶ月の雄ウイスターラツトに誘発した肺傷害の修復期における発現を免疫組織学的に比較倹討した。妊娠16日目の胎生期の肺では、上皮細胞が軽度の反応を示したが、それ以降の肺では、予測に反して反応は認められなかった。出生後でも生後一ヶ月の気管支上皮でクララ肺胞には強い反応が得られたが肺胞上皮には反応が認められなかった。これに対して成獣では肺胞II型上皮細胞が極く僅かであるが反応した。次いで、肺傷害における肺胞II型上皮細胞の動態とNDSTの発現を、細胞増殖、組織再構築にかかわる分子と共に検討した。傷害後2日目には、病巣を直接被覆する多数の上皮細胞と間質内に侵入した上皮細胞は異形化を示し、PCNA染色陽性であり細胞増殖が顕著であった。病巣近傍の非傷害部のII型上皮細胞の数は、対照に比べて約2倍に増加していた。上皮にはMT2-MMPの発現が傷害後2日目から強く認められ、次いでMT1-MMPの発現が上昇した。傷害後2日目から病巣を取り巻く異形細胞および病巣へ侵入する細胞にTNF-α変換酵素(TACE)の高発現が認められた。7及び14日目の線維化の始まった病巣にも多数のII型上皮細胞が単独あるいは小管腔を形成して侵入していた。NDSTの発現は傷害2日目から上皮に顕著にみられ、14日に至るまで新生肺胞上皮の一部に発現がみられた。傷害部には一過性にシンデカンー1が発現した。以上、肺傷害の自然治癒過程では、II型肺胞上皮は傷害部位に遊走、増殖し、Mt2-MMPやMT1-MMPを発現することによって傷害部位に侵入して肺胞を新生し、NDSTはこれに伴って発現することが示唆された。
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Research Products
(1 results)