2002 Fiscal Year Annual Research Report
老化蛋白SMP30遺伝子破壊により出現する病態の分子病理学的解析
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12670224
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
丸山 直記 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・加齢臓器障害研究グループ・グループリーダー(研究部長) (00115940)
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Keywords | 老化 / SMP30 / ライソソーム / リポフスチン / カロリー制限食 / 腎糸球体 |
Research Abstract |
1)SMP30遺伝子破壊マウス系に発症する臓器病変の原因を究明するためにSMP30自身が有する酵素活性について解析した。まずSMP30はサリンや有機リン系農薬を分解するところから、SMP30が同様の活性を示すDFP分解システムで検討した。その結果、SMP30は肝臓内で唯一のDFP分解酵素であることが判明した。また活性発現には2価イオン(Mg, Mn, Co)が必要であるがカルシウムは抑制的に作用した。またSMSP30は酸性フォスファターゼの活性もあり、この活性が本来の酵素機能と思われる結果を得た。これはライソソームにおける蛋白質や脂質の分解処理機能との関連を示唆する。 2)12ヶ月齢の腎組織を観察したところ糸球体上皮の融合があり高齢者腎における糸球体硬化の前駆的な病変を示すことが明らかとなった。尿細管ではSMP30欠損動物ではリポフスチンの数が極めて多く、SMP30が老化指標として利用できる可能性が示唆された。 3)糖尿病性腎症におけるSMP30の細胞内分布は疾患の重症度により差があることがわかり病理組織学的解析への応用が期待できる結果が得られた。 4)カロリー制限食を投与した実験動物は腎病変が改善され寿命延長が認められ。同時に臓器に於けるSMP30量が増加することが明らかとなった。これも加齢指標としての有効性を示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Eto Y, Maruyama N etc.: "Interaction between adrenamedullin and angiotensin II in the DNA synthesis and extrocellular matrix accumulation in cultured rat kidney interstitial cells"Clin. Exp. Nephrol.. 6. 7-12 (2002)
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[Publications] Ishigami A, Maruyama N etc.: "Senescence marker protein-30 knockout mouse liver is highly susceptible to TNF-α-and Fas-mediated apoptosis"Amr J Pathol. 161. 1273-1281 (2002)
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[Publications] 石井甲介, 丸山直記など: "老化指標蛋白質30(SMP30)の顎下腺における局在とノックアウトマウスの電子顕微鏡的観察"日本耳鼻咽喉学会会報. 105. 915-919 (2002)
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[Publications] Ishigami A, Maruyama N etc.: "Human peptidyldeiminase Type II : Molecular cloning, gene organization and expression in human skin"Archives of Biochemistry and Biophysics. 407. 25-31 (2002)
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[Publications] Ishigami A, Maruyama N etc.: "Protein deimination and peptidylarginine deiminase expression during cornification of rat epidermal keratinocytes"Biomedical Research. 23. 145-151 (2002)
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[Publications] 丸山直記, 石神昭人, 倉元雅史: "加齢臓器障害の分子機序とその克服"生体の科学. 53. 425-431 (2002)