2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670227
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 貴代子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40124474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 孝彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80280949)
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Keywords | 生殖細胞 / cDNARDA / 癌 / マウス精巣 / サブトラクション / 遺伝子変化 / ノーザンブロット / ホモロジー検索 |
Research Abstract |
ヒトの癌の発生、進展には臓器特異的に複数の遺伝子変化が起こっていることが明らかになってきている。しかし、種の保存と進化にとって重要な役割を担っている生殖系列から発生する癌の遺伝子変化についてはほとんど判っていない。そこで、生殖系列の癌化機構を明らにするために、発生初期に現れる始原生殖細胞から精子への分化過程で形成される腫瘍の遺伝子制御機構を分子レベルで解明することを目的とした。 生殖細胞の幹細胞である精原細胞の蓄積するJSD変異マウスと生殖細胞がほとんど無いW/Wv変異マウスの精巣から調製したmRNAを用いてcDNA Representational Difference Analysis(RDA)により精原細胞特異的遺伝子のクローニングを試みた。1ラウンドのcDNA RDAからはJSD変異マウス精巣に特異的に発現しているリポカリン型prostaglandin D2 synthetase(PGD-S)を得た。さらに、サブトラクションを行う際にドライバー側にPGD-S cDNA断片を加えJSD cDNA中に存在するPGD-Sを抑制することによりPGD-S以外に24p3,angiotensinogen,kallilrein,ferritin heavy chain,など15個の既知遺伝子断片と3個の未知遺伝子断片を得、JSD変異マウス精巣に特異的に発現していることをノーザン分析により確認した。今回得られたPGD-Sや24p3などのリポカリン遺伝子産物群はビタミンAなどの低分子の疎水性生理活性物質に結合して運搬する輸送タンパクとして知られている。このように精巣の代謝に関与する遺伝子群の発現に精原細胞の存在が必須である可能性が示唆された。現在これらの遺伝子断片をプローブにして発生の段階に従い雄生殖系組織での詳細な発現パターンを解析している。
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