2000 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫伝播に関与するハマダラカ唾液腺物質の研究
Project/Area Number |
12670238
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松岡 裕之 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10173816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 誠 自治医科大学, 医学部, 助手 (50326849)
吉田 栄人 自治医科大学, 医学部, 講師 (10296121)
|
Keywords | マラリア / 生殖母体 / 鞭毛放出 / キサントウレイン酸 / ハマダラカ / 唾液腺 |
Research Abstract |
我々は、今年度マラリア原虫雄性生殖母体の鞭毛放出を誘導する物質が、ハマダラカ唾液腺に含まれていることを見い出した。この物質はキサントウレイン酸(XA)と呼ばれ、ハマダラカ頭部、特に眼に多く含まれていることはすでに知られていた。吸血後にハマダラカ中腸内の血液において、XAの濃度が上昇していることから、吸血により中腸からのXA分泌が亢進する可能性が想像されていた。我々はすでに、ハマダラカは吸血時に自分の唾液を飲むことを明らかにしており、さらに本年度、ハマダラカは唾液腺内のXA量が多いこと、吸血後にXA量が減ることを明らかにした。これらからハマダラカにおいては、吸血時に唾液に含まれるXAを飲み込むことで、マラリア原虫雄性生殖母体の鞭毛放出を誘導し、雄性生殖体と雌性生殖体の受精が進行することが示唆された。したがって、ハマダラカ唾液腺においてXAの合成を阻害したり、消費を促進させたり、あるいはXAの合成に関与している特異的分子をノックアウトすることで、マラリアを伝播できないハマダラカをつくることができる可能性がある。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Luo,E.,Matsuoka,H. ほか: "Changes of salivary proteins during feeding and detection of saliva proteins in the midgut after feeding in a malaria vector mosquito, Anopheles stephensi (Diptera : Culicidae)."Medical Entomology and Zoology. 51. 13-20 (2000)