2000 Fiscal Year Annual Research Report
回虫新規シトクロムb_5の低酸素圧適応における生理機能
Project/Area Number |
12670241
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高宮 信三郎 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90138206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 浩 順天堂大学, 医学部, 講師 (00138207)
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Keywords | 回虫 / シトクロムb_5 / 低酸素圧適応 / 生理機能 |
Research Abstract |
本研究では回虫に見い出された新規シトクロムb_5の生合成機構、局在を明らかにし、低酸素圧適応における生理機能を解明することを目的としている。本年度は最初の立案どうり次の3項目に着手した。1)本シトクロムb_5の組織間および細胞内分布を特異抗体を用いて明らかにする。2)In vitro培養系により得た回虫の各発育stageの虫体を用い、本シトクロムの発現量を定量してstage特異的な発現、あるいは酸素分圧応答性の有無を検討する。3)プレシークエンスの全長を保持したnativeなcDNAと、これを欠損したmutant cDNAを作製し、これらを大腸菌内で発現させその産物と生体内分布を解析する。 以下に項目ごとに得られた成果を述べると、1)については成虫体壁ホモジェネートから得た細胞分画および体腔液に対して、抗シトクロムb_5抗体を用いてウエスタンブロッテングをおこなったところ、細胞質分画と体腔液には本シトクロムに相当するバンドが検出されたが、ミトコンドリア、ミクロゾーム分画には検出されなかった。また、筋組織の超薄切片を作製し、金コロイド粒子を付加した2次抗体と抗シトクロムb_5抗体を用いる免疫電顕をおこなっても、特定の細胞内オルガネラに局在することを示す所見は得られなかった。そこで、回虫成虫の横断切片を作製して、免疫組織染色をおこなったところ、角皮下層に顕著な染色が観察された。これらの結果から体壁から精製したシトクロムb_5は角皮下層由来であること、また、一部体腔液に分泌されることが明らかとなった。2)に関してはノザンおよびウエスタンブロッテングの結果から、本シトクロムは受精卵、および感染3期幼虫においては発現していないか、発現しても非常に少ないことが明らかとなり、成虫特異的に発現されることが示唆された。3)についてはプレシークエンス全長を保持したものだけが、N-末端アミノ酸配列、分子量、および反応性からみて、体壁から精製されたnativeなシトクロムb_5と区別がつかない組換えタンパクを産生し、しかも大腸菌のぺリプラズムに輸送されていることが明らかとなった。
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