2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトジラミ殺虫剤抵抗性分子診断法を確立するための基礎研究
Project/Area Number |
12670245
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
高橋 正和 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (00109969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
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Keywords | コロモジラミ / 殺虫剤抵抗性 / ナトリウムイオンチャンネル / アセチルコリンエステラーゼ / チトクロム酸化酵素 / チトクロムb / ピレスロィド |
Research Abstract |
アタマジラミの同胞種であるコロモジラミの殺虫剤感受性NIID系統を用い,ろ紙接触法により,本種の駆除薬であるフェノトリン感受性について,処理開始24時間後までのノックダウン率を観察することにより試験した。24時間後に50%ノックダウン率をもたらす薬剤濃度(KC50)は15-40mg/m2と推定した。処理開始3時間後に100%ノックダウンをもたらす濃度は60mg/m2で,この値は24時間後においてもほとんど相違ないことを確認した。さまざまな生理条件で試験に供することを余儀なくされ,かつ,コロニーあたりの採取数も少ないことが予想される野生のアタマジラミの殺虫試験から抵抗性個体を判定するためには,フェノトリン≧60mg/m2の閾濃度値で3時間後のノックダウン率を観察することが適切であるといえた。 他の害虫種におけるピレスロイド抵抗性の主要な遺伝的要因となっている作用点遺伝子点突然変異の検出をアタマジラミ種で行うことを目的として,para-orthologous Na+チャンネル遺伝子の保存ペプチド配列とアタマジラミ種での部分的既知配列に基づき,RT-PCRとそれに引き続くRACEを行うことにより,2086アミノ酸残基をコードするコロモジラミ種のcDNA配列を決定した。アタマジラミとコロモジラミの海外からの移入または国内における移動・分散および両同胞種間での遺伝子交流の可能性を研究する目的で,641残基をコードするアセチルコリンエステラーゼcDNA配列,および286,301,および383塩基の,それぞれ,ミトコンドリア由来のチトクロム酸化酵素ザブユニットII,III,およびチトクロムb遺伝子の部分的塩基配列を決定した。
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