2001 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞の開口分泌機構:分泌を惹起する細菌金属プロテアーゼの標的膜蛋白質の確定
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12670257
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 伸一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (60182060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 重雄 岡山大学, 薬学部, 教授 (40033229)
篠田 純男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50029782)
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Keywords | 肥満細胞 / ヒスタミン / 金属プロテアーゼ / 病原ビブリオ / 人食い菌 |
Research Abstract |
本年度はラット腹腔より単離した肥満細胞に対するヒスタミン遊離作用について検討した。 まず,金属プロテアーゼ(VVP)とその金属置換体のヒスタミン遊離作用を比較した。活性中心の基質への親和性が低く蛋白質分解活性も低いVVP(Ni^<2+>)は,VVPよりもはるかに弱いヒスタミン遊離作用を示した。一方,活性中心の基質への親和性が高いVVP(Cu^<2+>)は,蛋白質分解活性が低いにもかかわらず,VVPより僅かに強いヒスタミン遊離作用を示した。 次に,N末側ドメイン(VVP-N)とその金属置換体のヒスタミン遊離作用を比較した。VVP-Nを肥満細胞に作用させたところ,用量依存的にヒスタミン遊離応答が惹起され,VVPと同用量で応答がプラトーとなった。よって,ヒスタミン遊離作用にC末側ドメインは必須でないと結論された。しかし,プラトーにおけるヒスタミン遊離率はVVPの1/3であり,ヒスタミン遊離応答を強く惹起するためにはC末側ドメインが必要であると考えられた。また,VVP-N(Ni^<2+>)はVVP-Nよりもはるかに弱いヒスタミン遊離作用を示し,VVP-N(Cu^<2+>)はVVPよりも強いヒスタミン遊離作用を示した。したがって,ヒスタミン遊離作用は,VVP-Nの活性中心と肥満細胞の標的膜成分との結合により惹起されると推察された。 さらに,ヒスタミン遊離応答のキネティクスを比較した。その結果,VVPでは遊離応答が瞬時に惹起され30秒後に終了した。一方のVVP-Nでは30秒の遅延時間の後に遊離応答が惹起され,60秒後に終了した。 以上,本年度の研究により,(1)VVPではC末側ドメインを介して速やかに細胞膜と結合するため,短時間にまとまった強い刺激が与えられる。(2)VVP-Nでは細胞膜との結合が遅く,しかもそれが同調しないため,ヒスタミン遊離応答を惹起させうる刺激の伝達に30秒を必要とする。(3)VVP-Nでは刺激の伝達量が少ないため,ヒスタミン遊離応答が弱いことが明かとなった。
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Research Products
(1 results)