2000 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカイン・Fcキメラの生体でのHIV増殖抑制及び生物活性の検討
Project/Area Number |
12670287
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
稗島 州雄 近畿大学, 医学部, 講師 (10322570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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Keywords | ケモカイン / RANTES / CCR5 / SDF-1 / CXCR4 / Fcキメラ |
Research Abstract |
1.変異ケモカイン・Fcキメラの作成 (1)RANTES-Fcの変異体の作成とin vitroにおける拮抗作用の検討 RANTES-Fcの変異体としてアミノ末端にメチオニン(Met)残基を導入したMet-RANTES-Fcを作成した。Met-RANTESはRANTESに対し拮抗作用を持つことが報告されている。我々の作成したMet-RANTES-FcはCCR5発現細胞のL-CCR5細胞に結合し、Ca^<2+>流入及び細胞遊走能を低下させた。しかしながら、L-CCR5に対する細胞遊走実験では野生型RANTESの拮抗作用をほとんど確認できなかった。このため、in vivoにおけるMet-RANTES-Fcの作用を検討する意義がなく、RANTES-Fcに対して拮抗作用のあるケモカイン・Fcキメラの作成は保留となっている。 (2)SDF-1-Fcの変異体の作成とin vitroにおける拮抗作用の検討 SDF-1-Fcの変異体としてアミノ末端から2残基目のプロリンをグリシンに置換したP2G-SDF-1-Fcを作成した。P2G-SDF-1はSDF-1に対する強力な拮抗作用が既に報告されている。P2G-SDF-1-FcはCXCR4発現細胞のCEM細胞に結合し、細胞遊走能を消失させ、Molt-16細胞でのCa^<2+>流入を消失させた。さらに野生型SDF-1のCEM細胞遊走アッセイでも有意な拮抗作用が確認された。 2.In vivoにおけるSDF-1-Fc及びP2G-SDF-1-Fcの生物学的機能の検討 (1)半減期の測定 BALB/cマウスに静注後血清を回収し、SDF-1に対するサンドイッチELISA法で測定した結果、SDF-1、SDF-1-Fc、P2G-SDF-1-Fcの半減期はそれぞれ1時間未満、約4時間、約9時間という結果となった。 (2)SDF-1-Fc及びP2G-SDF-1-Fcの大量精製 HEK293T細胞を用いたカルシウムリン酸法で、SDF-1-Fcは5-10mg/Lとの高収量を得たが、P2G-SDF-1-Fcは1-2mg/Lと低収量であった。現在もP2G-SDF-1-Fcの大量精製に取り組んでいる。
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