2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670301
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小川 峰太郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70194454)
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Keywords | 転写因子 / 血液細胞 / 血管内皮細胞 / 中胚葉 / 胚性幹細胞 / プロモーター / フローサイトメトリー / 発生学 |
Research Abstract |
本研究は、中胚葉から発生する胚型血液細胞系譜と、血管内皮から発生する成体型血液細胞系譜という血液細胞発生の2つの分化系路の枠組みの中で、TAL1、GATA-2などの転写因子が担っている階層的な役割を理解することを目的としている。このために、マウス胚性幹細胞(ES細胞)から中胚葉細胞および血管内皮細胞を経て血液細胞に至る試験管内分化系を利用して、(A)特定の転写因子を発現する細胞の分化能力の追跡、(B)特定の転写因子の発現誘導による血液細胞の発生制御、の2つのアプローチにより研究を進めた。 本年度は(A)としてGATA-2を発現する中胚葉細胞の分化能力を解析した。Gata-2遺伝子のプロモーター下流にマーカー遺伝子を相同組換えにより挿入したES細胞を作成しこれを試験管内で分化誘導した。培養4日目までに分化した中胚葉細胞の一部にGATA-2を発現する集団が検出され、胚型赤血球の前駆細胞はこの分画に強く濃縮された。ストロマ細胞依存性に成体型血液細胞に分化する前駆細胞の頻度もこの分画で高いことが示された。ES細胞の分化誘導3日目に初めて出現する中胚葉細胞の中にすでにGATA-2を発現する分画が認められ、血管内皮・血液細胞系譜の最も初期の前駆細胞を分離し得る可能性が示唆された。 次に(B)としてエストロゲン受容体を介してCre/LoxPを作動させることによりTAL1を発現誘導するシステムをTal1遺伝子欠損ES細胞に導入し、Tal1欠損による造血発生阻害の解除を試みた。このES細胞を試験管内で分化誘導した結果、中胚葉細胞としてのごく一時期にTAL1が存在することが、胚型血液細胞系譜の発生のみならず、後に発生する血管内皮細胞が血液細胞への分化能力を持つためにも必要であることが明らかとなった。TAL1とGATA-2は中胚葉細胞において血液細胞の発生に先駆けてこれを支配する分子であることが示唆される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 邊見 弘明: "Skin antigens in the steady state are trafficked to regional lymph nodes by transforming growth factor-β1-dependent cells"International Immunology. 13. 695-704 (2001)
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[Publications] 藤本 哲広: "Step-wise divergence of primitive and definitive hematopoietic and endothelial cell lineages during embryonic stem cell differentiation"Genes to Cells. 6. 1113-1127 (2001)
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[Publications] Stuart Fraser: "Embryonic stem cell differentiation as a model to study hematopoietic and endothelial cell development"Methods in Molecular Biology. 185. 71-81 (2001)
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[Publications] 宮下 浩輝: "A mouse orthologue of puromycin insensitive leucyl-specific aminopeptidase(PILSAP) is expressed in endothelial cell and plays an important role in angiogenesis"Blood. (印刷中).