2000 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞レセプターVδ遺伝子のターゲティングによるγδT細胞の発生・機能の解析
Project/Area Number |
12670305
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸原 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80214774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 吾朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (30229455)
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Keywords | γδ / T細胞 / レセプター / 分化 / 皮膚 / ノックアウトマウス / ジーンターゲティング |
Research Abstract |
平成12年度は,Vδ1欠損マウスをジーンターゲティング法により作成し,胎仔胸腺細胞および皮膚に局在する樹状皮内T細胞(DETC)の発生・分化に対するVδ1欠損の影響を解析した.その結果,以下の結果が得られた. マウスのの上皮に局在するγδT細胞の非常に際立った特徴の一つは,それぞれの上皮組織に固有のVγ/Vδが使われていることである.マウスの皮膚における樹状皮内T細胞(DETC)は,おもに胎仔胸腺における"第一波"であるVγ5陽性細胞に由来し,DETCのほとんどは結合部の多様性に欠く単一のVγ5/Vδ1からなるT細胞レセプター(TCR)を発現している.Vδ1遺伝子の欠如によって,DETCの前駆細胞であるVγ5陽性胎仔胸腺細胞の発生は著明に阻害された.しかしながら,Vδ1欠損マウスにおいては,典型的な樹状形態を有するγδTCR陽性DETCが認められ,皮膚におけるT細胞の密度は正常マウスよりもわずかに低い程度であった.Vδ1欠損マウス皮膚において,Vγ5陰性DETCが検出されたが,Vγ5陽性DETCがVδ1優位であった.そのVγ5陽性DETCは,正常マウスのDETCと同様に,典型的な樹状形態を示し,γδTCRの発現が高く,加齢にともない増加した.一方,Vγ5陰性γδTCR陽性DETCは未熟な形質を有し,加齢にともない増加しなかった.また,Vδ1欠損DETCは,正常マウス由来のDETCと同様に,ケラチノサイトに反応し,サイトカインの産生を誘導,増強した.以上の結果から,至適なDETCの発生・分化には,特定のVδ/Vγの組合せが必須である訳ではないが,DETC前駆細胞が皮内環境で成熟,増加するために必要なγδTCRの多様性は限定されていることが示唆される.
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Research Products
(1 results)