2000 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスの生体影響に関する神経科学的研究-海馬神経繊維の形態と神経生理を用いて-
Project/Area Number |
12670313
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 助教授 (00157025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 恭子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50292008)
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
齋藤 健 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40153811)
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Keywords | ストレス / 海馬 / ホルモン / シナプス / コルチコイド |
Research Abstract |
1)ホルモン投与後のシナプスの形態変化の観察 まず,共焦点顕微鏡を実験に応用するために,スライドグラス上のサンプルを用いた単純な系で操作等を行い習熟した(Sato S.et al.)。次に,4週齢のラットから摘出した海馬切片を対象とした実験を実施した。倒立型共焦点顕微鏡に設置された,人工脳脊髄液(ACSF)が潅流され35℃に保たれたチェンバー内に海馬切片を移した。上方から刺激および細胞外記録電極をCA1領域に刺入し、EPSPを確認した。形態観察用の染料としてDi-Iを用い、oil drop法によりCA1細胞層を染色し、各種ホルモン(糖質コルチコイド,女性ホルモン)投与4時間後のシナプスの撮影ならびにEPSPの記録を行った。その結果,女性ホルモンによる樹状突起の単位長さあたりのスパイン数に有意な変動は認められなかったが,糖質コルチコイドの投与では有意の減少が認められた。 2)海馬切片の組織培養手法の確立 2〜3日齢のラットから摘出した海馬切片を用いた。海馬は解剖後300μmの切片として,培養容器中の多孔性フィルター(Nunc, filter inserts,孔サイズ0.02μm、直径10mm)の上に静置した。培養液にはNeurobasal medium(50%),MEM with Earle's Salts(25%),Heat Inactivated Normal Horse Serum(25%)を用いた。培養容器は、35度,5%CO_2に保たれたインキュベーター内に移し、1〜4週間培養した。その成育状況は,切片をシャーレに移しその培養液にPropidium Iodide(4μg/ml)を含ませることで,共焦点顕微鏡により経時的に確認した。この手法により,死亡した細胞は赤の蛍光を発するので,死滅の度合いを半定量的に測定できる。その結果,培養細胞は培養後21日まで良好な生育状況を示すが,その後数日で急激に死亡することが認められた。したがって,この実験系では培養後21日までホルモン投与等の操作をして,海馬培養細胞への影響を検討できることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)