2000 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウム汚染地域住民の骨代謝異常発症の危険因子に関するコホート研究
Project/Area Number |
12670317
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
加須屋 實 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50045382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 輝隆 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80115162)
青島 恵子 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20126501)
寺西 秀豊 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (40115184)
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Keywords | カドミウム / イタイイタイ病 / 尿細管障害 / 骨軟化症 / コホート研究 / 低リン血症 |
Research Abstract |
富山県神通川流域カドミウム汚染地域の女性住民に多発したイタイイタイ病は,多発性近位尿細管機能異常症と骨軟化症を特徴とするきわめて慢性に経過する疾患である。その病理発生機序はカドミウムによる近位尿細管機能異常症(カドミウム腎症)による骨軟化症,すなわち尿細管性骨軟化症と考えられている。本研究の目的は,尿細管障害例の尿細管機能異常ならびに骨代謝の経過および相互の関連を検討し,骨代謝異常発症の危険因子を明らかにすることである。 神通川流域カドミウム汚染地域11集落に居住する大正7(1918)年から昭和2(1927)年生まれの女性住民全員137名を対象に,早朝尿中β_2-ミクログロブリン(β_2-M)ほかを測定した。参加者数103名(参加率75%)であった。103名中尿β_2-M値1mg/g creatinineを超えた57例を対象に,尿細管機能と骨代謝に関する詳細な検索を行った。57例中,1985年に検索し得た例は26名であった。現在までに諸測定が終了した10名(73〜80歳)について解析し,以下の知見を得た。 10例中2例(Case4,Case8)に骨レントゲン検査において骨改変層様の所見を認め,骨軟化症の発症が考えられた。本2例は,他の8例に比較し1985年におけるクレアチニンクリアランス(Ccr)値が低く,15年後にさらにCcr値の顕著な低下をみた。また血清カルシウム(Ca),無機リン(iP)値の低下を認め,とくに血清iPの低下の程度が顕著であった。本2例の尿細管最大再吸収値(TmP/GFR)は10例中最低値を示していた。したがって,腎機能の低下,血清無機リン濃度の減少が骨軟化症発症の主要な病態と考えられた。
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