2001 Fiscal Year Annual Research Report
食餌性因子による活性酸素を介するヒト遺伝子損傷の解析とがん予防
Project/Area Number |
12670318
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
及川 伸二 三重大学, 医学部, 講師 (10277006)
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Keywords | 食餌性因子 / 酸化的DNA損傷 / 生体内金属 / 生体内還元物質 / ヘテロサイクリックアミン / PhIP / アミノフェニールノルハルマン / 臭素酸カリウム |
Research Abstract |
がんの原因として、食餌性因子は約35%を占めているといわれており、最も重要な因子である。調理加熱した食品中に生成することが見い出されているヘテロサイクリックアミンのうちでも、最もその生成量が多いことが知られているPhIPについて検討を行った。また、ヘテロサイクリックアミンの一種であるノルハルマンとアニリン化合物により生体内で生成されるアミノフェニールノルハルマンについても検討した。さらに、小麦改良剤として用いられる食品添加物臭素酸カリウムについて遺伝子損傷性とその機構を解析した。その結果、PhIPおよびアミノフェニールノルハルマンは、いずれもそのN-ヒドロキシ体代謝物が酸化的にDNAを損傷することが明かとなった。生体内還元物質NADHの存在下では低濃度でもDNA損傷することを見い出した(Carcinogenesis in press;Mutat.Res.494,63-72,2001)。臭素酸カリウムは単離DNA断片を用いた場合、グルタチオン、システイン等のSH基を有する生体内還元物質の存在下で活性化され、グアニンを特異的に酸化的に損傷することを見い出した。この酸化はGGあるいはGGGのようなグアニンが連続する塩基配列の5'側のGに生じやすいことを見い出した。さらに、ヒト培養細胞において臭素酸カリウムの濃度依存的に8-oxodGの増加が認められた。BSOによるグルタチオン枯渇状態においても8-oxodGの生成が検出され、細胞内においてもグルタチオンに加えシステイン等の他のSH化合物も活性化に関与していることを明らかにした(Chem.Res.Toxicol.14,678-685,2001)。以上のように、これらの食餌性因子はいずれも活性酸素を介してヒト遺伝子を損傷し、がん予防の観点から安全な摂取方法等の検討が必要であることが明かとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] <M.Murata>___-, S.Kawanishi: "Oxidation of 5'-site guanine at GG and GGG sequences induced by a metabolite of carcinogenic heterocyclic amine PhIP in the presence of Cu(II)and NADH"Carcinogenesis(in press).
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[Publications] <M.Murata>___-, Y.Bansho, S., et al., S.Kawanishi: "Requirement of glutathione and cysteine in guanine-specific oxidation of DNA by carcinogenic potassium bromate"Chem.Res.Toxicol.. 14. 678-685 (2001)
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[Publications] <M.Murata>___-, A.Tamura, M.Tada, S.Kawanishi: "Mechanism of oxidative DNA damage induced by carcinogenic 4-aminobiphenyl"Free Radic.Biol.Med.. 30. 765-773 (2001)
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[Publications] <M.Murata>___-, S.Ohnishi, S.Kawanishi: "Acrylonitrile enhances H_2O_2-mediated DNA damage via nitrogen-centered radical formation"Chem.Res.Toxicol.. 14. 1421-1427 (2001)
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[Publications] S.Ohnishi, <M.Murata>___-, S., et al., S.Kawanishi: "Oxidative DNA damage by an N-hydroxy metabolite of the mutagenic compound formed from norharman and aniline"Mutat.Res.. 494. 63-72 (2001)
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[Publications] K.Midorikawa, <M.Murata>___-, et al., Shosuke Kawanishi: "Protective effect of phytic acid on oxidative DNA damage with reference to cancer chemoprevention"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 288. 522-577 (2001)