2000 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによる肝障害発生に対するp53の遺伝的多型の影響
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12670320
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 茂秋 神戸大学, 医学部, 教授 (00076994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 孝 神戸大学, 医学部, 助手 (10294208)
鎌江 伊三夫 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (70252905)
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Keywords | HCV / 1b遺伝型 / 感染 / p53 / 遺伝的多型 / CCC(Pro) / 肝障害 / 肝癌 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染率の高い兵庫県内の一地域において、健診時の採血材料を用いて、HCV感染、その遺伝型とp53遺伝的多型の関連を検討した。1996-1998年度の間に、人口8500人の当該地域で2000名が検診を受けた。内20.1%がHCV抗体陽性、2.0%がHBs抗原陽性であった。この地域は5つの地区に分かれ98%の人が内3地区に住んでいる。その内A地区ではHCV抗体陽性率が37.3%であった。HCV遺伝型はA地区の174名について調べられた。この分布は1bが66%、2aが31%、2b及び2aが各々2%と日本全体での分布と差がなかった。p53のエキソン4、72番目のコドンの多型(CGC又はCCC、Arg又はPro)をA地区でHCV遺伝型の判明している75名とHCV感染陰性の232名についてPCR-SSCP法で解析した。HBs抗原陽性者は解析から除外した。HCV感染症例全体と非感染対照全体を比較した時にはp53遺伝的多型とHCV感染との間に有意な相関は見られなかった。しかしながら性及び年齢をマッチさせてHCV遺伝型各々について検討した結果、HCV1b型の男性の場合、症例24名でPro/Pro,Pro/Arg及びArg/Arg型が各々25、33及び42%に対し、対照45名では各々4、40及び56%とPro/Pro型が症例で有意に高頻度であった(p=0.039)。又Pro型の染色体数の頻度も有意に高かった(p=0.010)。女性及び他のHCV遺伝型については有意な差は得られなかった。以上の結果はp53のPro/Pro型の人はHCV1b感染の危険度が高い事を示唆する。又我々が先に見い出した肝癌患者ではPro/Pro型が多い事実は、肝癌症例では特に1b型HCV感染の頻度が高い事を反映した現象と思われる。今後は当該地域でHCV、特に1b型への感染者と他の場合の症状の進展の違いをフォローアップして行く予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 井上吉樹: "A case-control study of hepatocellular carcinoma in Hyogo Prefecture"Kobe J.Med.Sci.. 46. 181-188 (2000)
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[Publications] 鎌江伊三夫: "The influence of statistical errors on the cost-effectiveness of treatments following a phase-III clinical trial"Value in HEALTH. 3・2. 111 (2000)
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[Publications] 鎌江伊三夫: "Power and sample size calculations for a clinical trial considering cost-effectiveness and statistical errors"Value in HEALTH. 3・5. 373 (2000)
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[Publications] 兵庫県家島町: "地域保健推進特別事業報告書"家島町保健センター. 56 (1999)